日本語

① あそこの家は、今日は七夜のお祝いです。
② あの家主は悪い人ではありません。
③ 親は三味線弾きですが、子は何でもありません。
④ ここは与那城ではなく、屋慶名という所だ。
⑤ 給料は会社にとっては出費であり、労働者にとっては収入である。

うちなあぐち

① あまぬ家(やあ)や、今日(ちゅう)や、満産(まんさん)祝儀(しゅうじ)やいびいん
② あぬ家(やあ)ぬ主(ぬうし)え、悪(や)なむんやあいびらん
③ 親(をぅや)あ、三味線(さみしな)、弾(ひ)ちゃあやみせえしが、子(くぁ)あ、何(ぬう)んあらん
④ くまあ、与那城(ゆなぐしく)やあらん、屋慶名(やきな)す所(とぅくる)どぅやる
⑤ 手間(てぃま)あ、会社(くぁいしゃ)にとぅてえ出(ん)じる前(めえ)やい、あがちゃあにとぅてえ入(い)り前(めえ)やん

【解説】
 日本語の「―だ、―である」は沖縄語では「―やん」です。その丁寧語は「―やいびいん」、目上語は「―やみせえん」となります。文中に強調を表わす助詞「どぅ」やその清音「る」がある場合はそれを受けて、それぞれの連体形、「―やる」、「―やいびいる」、「―やみせえる」で結びます。「係り結び」については第3講参照。
 前講にあるように、「やん」の否定の形は「―あらん(又あらぬ)」となります。「あらん」は、見かけは「あん(ある)」の未然形に否定助動詞が付いている形ですが、「あん」の否定ではありません。「あん」の否定は「ね無えん」又は「無えらん」です。参考:前講。「あらぬ」は「あらん」の「古い形」で、今でも使用される言い方なのですが、「あらん」が圧倒的に多く用いられています。
なお、「やん」や「あらん」の過去形はそれぞれ「やたん」、「あらんたん」と間接過去(第61~65講)のみになります。「あらん」は「違う」という意味にも用いられます。例:くりえ、あらん(「これは違う」、あらんどお(違うよ)。あねえ、あらん(そうじゃない、そうではない)等。

例文① 「すうじ、しゅうじ」は「祝儀」から転用した沖縄語で「祝い事」を表わします。
例文② 「やみせえん」は存在動詞「やん」の連用形「や」に目上語(尊敬語)である「みせえん」が付いたものです。目上語については第51講等参照。
例文④ 「出じる前」は「出じり前」また「出じふぁ」とも言います。「入りみ目」は「出費」という意味です。
例文⑤ 「―あらんあい」は「―でないし」と接続文が続く用法です。ちなみに、「やん」に接続文が続く場合は「―やい」となります。例:「くりんやい、ありんやん」(これでもあるし、あれでもある)。参考23講。

 
【応用問題】
次の沖縄語を日本語文に直しなさい。
① ありえ、星(ふし)え、あらん、飛行機(ひこうち)どぅやる。
あらぬ、あらぬ、うりえ、しょうむんやあらぬ
③ 今(なま)あ、なあだ、秋(あち)え、あらん、夏(なち)どぅやる。
④ はんたぬ上(ゐい)や、風所(かじどぅくる)んやい、すじ所(どぅくる)んやん
⑤ あぬ女(ゐなぐ)お、うんじゅがたちなあかどぅやるい。
答え:
① あれは、星ではない、飛行機だ。
② 違う違う、それは本物ではない。
③ 今はまだ秋ではない、夏なのである。
④ 崖の上は風が強い所でもあるし、涼しい所でもある。
⑤ あの女性は、あんたのつれあい(配偶者)なのか。