日本語

① 知事は、お休みになっておられます。
② どうか、ご寵愛たまわりまください。
③ 私の家族を見守りたまえ。
④ 皆様、私が申し上げるお話をお聞きくださいませ。
⑤ 結婚式にご出席賜り、大変ありがとうございます。

うちなあぐち

① 知事(ちじ)え、憩(ゆく)いみそおち、うたびみせえん
② どうでぃん、思愛(うみがなさ)みそおち、うたびみそおり
③ 我(わ)っ達家組(たあやあぐな)、見(みい)守(まん)んどおってぃ、うたびみそおり
④ 御(ぐ)すうよう、我(わあ)がうんぬきゆる話(はなし)、うんぬかみそうちうたびそおり
⑤ にいびちぬ御祝(うゆえ)えんかい、めんそおちうたびみそおち、いっぺえ、にふぇえで(い)えびる。

【解説】
 「うたびみせえん」は「御賜みせえん」と表記すれば意味が分かります。「たびゆん(賜びゆん)」に「御」が付いた語句なのですが、「たびゆん」はが口語では用いられませんので、この「うたびみせえん」という複合語があたかも一つの語であるかのようです。
 前講の「みせえん」同様、丁寧語「いびいん」が付き、「うたびみせえ(い)びいん」と成る事も多いです。( )内の「い」は都市部辺りでは、多くは略されますが地方では健在です。この語句は「呉ゆん」の目上語である「呉みせえん」よりも上級の敬語です。単に目上の相手に使うのでなく、階級的要素が加わり、上級の者に対して使う場合に用いるようです。
 階級のない現代では「うたびみせえん」は一般的な会話ではあまり使用されなくなっています。話し言葉においては、多くは「お願い事」に使いますので、「うたびみせえびり」や「うたびみせえびれえ」という命令形を覚えておけば通常は事足ります。文章語として使用したい方は例文⑤の程度に(「―うたびみそおち、―」)程度に使用できれば良いと思います。
 とはいえ、日本語でも商用文や大衆を面前にした演説調の挨拶に、「武家言葉」が用いられているように、この「うたびみせえん」も同様な状況で使用される事が期待されます。なお、「うたびみそうり」にも「うたびみそうれえ」という砕け言葉があります。

例文② 「思愛さ」は「思い愛する事」、「肝愛さ」は「心から愛する事」。
例文③ 「御火ぬ神がなし」は「火ぬ神がなし」や「御尊(ううとうとぅ)加那志(がなしい)」でも良いです。「家組」は「家人数(やあにんず)」とも言います。
例文④ 「うんぬきゆん(申し上げる)」は「言ん」の謙譲語です。「うんにゅきゆん」とも言います。「うんぬかみそち」は「うんぬかゆん(お聞きになる=「聞く」の敬語)」に「みせえん」が付いた接続態です。「うんぬかゆん」は「うんにゅかゆん」とも言います。

【応用問題】
 次の対目上語を「うたびみせえん」を使って書き変えなさい。
① 首相や沖縄(うちなあ)んかいめんそおちょおいびいん。
② 去年(くず)お見(み)い考(かんげ)えし呉(うぃ)みそおちにふぇえでえびる。
③ 来年(やあん)ん、う葉書書(はがきか)ち呉(くぃ)みせえびり。
答え:
① 首相や沖縄んかいめんそおちうたびみせえん。
② 去年お見い考えし、うたびみそおちにふぇえでえびる。
③ 来年ん、葉書書ち、うたびみせえびり

日本語訳(意訳):
①首相は沖縄にいらっしゃっています。
②昨年はお世話になりありがとうございます。
③来年もお葉書をお書きになってくださいませ。