日本語

① 雨降り後の泥道は、滑りやすい。
② 今日は一日中、気分がすぐれません。
③ お爺さんの三味線は、大変、立派だった。
④ 孫が訪ねてくれば、嬉しいね。
⑤ 裏座の敷物はカビが生えて、汚くて。
⑥ 彼はあまりにも、悲しかったので泣いていました。

うちなあぐち

① 雨降(あみふ)い後(あとぅ)ぬ泥道(どぅるみち)え、なんどぅるさん
② 今日(ちゅう)や、ふぃっちい、あんまさいびいん。丁寧
③ 御主前(うすめえ、うしゅめえ)三味線(さんしん)や、でえじな、しょうらさたん。過去
④ 孫(んまが)ぬ巡(みぐ)てぃ、来(ち)いねえ、いしょうさんやあ。感嘆
⑤ くちゃぬ敷(しち)なあ、黴(こうじ)ふち、はごうさぬ。余韻
⑥ 彼(あり)え、どぅく、なちかさたくとぅ、涙落(なだう)とぅちょおいびいたん。接続

【解説】
 形容詞は終止形語尾部分が「さん、しゃん」となるのが特徴です。例文⑤のように、「―さぬ」という、「言い切り」の文(註)がありますが、「ぬ」を接続助詞とする後続の文が略されたものです。通常の終止形で言い切る文にはない余韻が残る用法になっています。そうした接続文のない用法を余韻用法といいます。(参第86講)
 形容詞の活用は動詞ほど複雑ではなく、否定形(次講)に係助詞を使用したり、一部の形容詞の連体形については、変則的な部分があったり、また、一部が日本語的になったりする(例:あんましい事、またしい者、うふやしい子)等の他は概ね日本語の形容詞の活用に近いです。
 丁寧文は「―さ いびいん」、過去文は「―さ たん」、接続は「―さ くとぅ」、「―さ ぬ、」の形となります。
註:「うかあさぬ、行ちいんならん(危なくて、行けない)」、「暑さぬ ふしがらん(暑くてどうしようもない)」、「にいさぬ ならん(まずくて、嫌だ)」等。

例文① 「なんどぅるさん」から派生した語に、「なんどぅるう(すべすべしたもの)」、「なんどぅってんそおん(すべすべしている)」等があります。
例文③ 「御主前三味線」は「おじいさんの三味線」です。沖縄語では所有を表わす助詞には「ぬ」や「が」がありますが、その使用について概ね以下の基準があります。一人称、二人称、人名には用いず、三人称代名詞には用います。
用いない例:わあむん我物、やあむん汝物、あんまあちん母着物、いったあむん達物(あなた達のもの)、彼等物(あったあむん)、兄考(やっちいかんげえ)、太郎物(たるうむん)等。
用いる例:彼(あり、くり、うり)が物(むん)。
例文⑤ この例文は余韻用法(参第86講)の例。「こうじ(黴)」は「ふちゅん」と言い、「み生いゆん」とは言いません。
例文⑥ 接続の例。「どぅく」は「とても」、「あまりにも」の意味です。「なちかさん」は「悲しい」。

  
【応用問題】
 次の文を形容詞を使う沖縄語文に直しなさい。
① 夜明けごろは、眩しい。
② 私の従姉は自分は霊感があるといってます。
③ それぐらいなら、やりやすいよ。
④ メリケン粉はとても、細かいよ。
⑤ 石油不足だから、値段が高騰している。
答え:
① 夜明(ゆあ)きぬうるみえ、目(みい)光(ふぃちゃ)らさん。
② 我(わあ)従姉(いちく)お、自(どぅう)や、聖高(しいだか)さんでぃ、言(い)ちょおいびいん。
③ うぬあたいやれえ、どぅうやっささ。
④ ミリキン粉(ぐう)や、でえじな、うろうさんどお。
⑤ 石油(しちたんゆうう)ぬうるさくとぅ、値(でえ)ぬ上(あ)がとおん。