日本語

① 針の穴は、小さくて、糸は通しにくいです。
② 外は寒くて、家に籠もっていまます。
③ 風が多くて、戸はすべて、閉めました。
④ 蝉の鳴き声はうるさくて、どうしようもありません。
⑤ 恥ずかしくて、穴があれば、入りたいなあ。

うちなあぐち

① 針(はい、はあい)ぬ穴(みい)や、ぐまさぬ、糸(いいちゅう)や通(とぅう)しぐりさいびいん。
② 外(ふか)あ、寒(ふぃい)さぬ、家籠(やあぐ)まいそおいびいん。
風多(かぞ)うさぬ、戸(はしる)お諸(むる)、閉(く)うやびたん。
④ さんさなあぬ鳴(な)ち声(ぐぃい)やみ、みんちゃさぬ、ふしがらりやびらん。
⑤ 恥(は)じかさぬ、穴(あな)ぬあれえ、ふぇえりんちい欲(ぶ)さっさあ。

【解説】
 接続用法については、第47講はじめ他講でも断片的に触れている通りですが、形容詞基本形(語幹+さ)の接続助詞「ぬ」を使う場合について、改めて取り上げているものです。日本語の接続助詞「て」の機能に似ています。(ただし、日本語の「て」は形容詞連用形に付きます)。
 なお、この用法が左例のように、口語において、言い切る形で、あたかも終止形のように用いられる場合は余韻用法といいます。(第80講参照)
例:「あっさびよお、まあさぬ(ああ、美味しくて)」、「ヤマトお、遠さぬ(本土は遠くて)」、「あい、うかあさぬ(ほら、危ない)」、「はあなあ、かしまさぬ(ああもう、うるさくて)」等。

文例③ 「風多さん」は、「風が絶え間なく吹く様子等」を言いますが、必ずしも強風ではありません。「閉うゆん」は「(戸、窓、目、口等を)閉じる」で、「しみゆん」は「(帯等を)締める」の意味になります。
文例④ 「みんちゃさん」は、音等「耳障りのするうるさい様」を言います。単に「うるさい」は「かしまさん」、ひどくうるさい場合は「ゆんがしまさん」と言います。
文例⑤ 「ふぇえりんちゅん」は「閉じられた空間等に入りこむ」の意味です、単に「入ゆん」とは趣が異なります。

  
【応用問題】
 次の文を形容詞接続用法を用いた表現に直しなさい。
① 白浜んじえ目光らさくとぅ、黒眼鏡かきらんでえないびらん。
② やあ灸や熱さくとぅ、しみい欲しゃあ無えやびらん。
③ 突がい物やうかあさくとぅ、赤子ぬ居る所んかいや、置くなけえ。
④ 汝商えぬしい様やはんたさくとぅ、さんしえましえあらに。
⑤ くぬ晴着え、狭ばされえ、なあ、着らりやびらん。
答え:
① 白浜(しらはま)んじえ、目光(みいふぃちゃ)らさぬ、黒眼鏡(くるがんちょう)かきらんでえないびらん。
② 灸(やあちゅう)や、熱(あち)さぬ、しみい欲(ぶ)しゃあ無(ね)えやびらん。
③ 突(とぅ)がい物(むん)や、うかあさぬ、赤子(あかんぐぁ)ぬ居(をぅ)る所(とぅくる、とぅくま)んかいや置(う)くなけえ。
④ 汝商(やああちねえ)えぬしい様(よう)や、はんたさぬ、さんしえましえあらに。
⑤ くぬ晴着(うわあじ)え、狭(い)ばさぬ、なあ、着(ち)らりやびらん。

日本語意訳:
①白浜では眩しくて、サングラスをかけなければなりません。
②お灸は熱いのでさせたくありません。
③突起物は危ないので、赤子の居るところには置くな。
④君の商売のやり方は危なっかしいので、しない方がよいのではないか。
⑤この晴着は狭くて、もう着けれません。