日本語

① へえ、行って見てみてよ。
② 昔は見た事もない人とも結婚をしたものだ。
③ 友だちと一緒に遊んでくるよ。
④ 髭も剃ってもこないからみっともない。
⑤ 自分の荷物は自分で担いでいくよ。
⑥ 自分の分さえ、持っていこうともしない。
⑦ 仕事もないから、遊んでいるのさ。
⑧ 孫も連れて行ってしまってくれたまえ。
⑨ あちこち回ってみるよ。

うちなあぐち

① んじ、行(ん)じ、見(ん)ち'んでえわ。
② 昔(んかし)え、見(ん)ちんんだん人(ちゅ)とぅん、にいびちすたん。
③ 友(どぅし)とぅ、まじゅん、遊(あし)でぃちゅうさ。
④ 髭(ふぃじ)ん、剃(す)てぃんくうんくとぅ、風儀(ふうじ)ん無(ね)えらん。
⑤ 自(どぅう)ぬ荷(にい)や、自(どぅう)し、担(かた)みてぃいちゅさ。
⑥ 自(どぅう)ぬたましんちょおん、持(む)っちいかんでぃんさん。
⑦ 仕事(しくち)ん無(ね)えらな、遊(あし)でぃる歩(あ)っちょおさ。
⑧ 孫(んまが)ん、連(そ)うてぃはち呉(くぃ)みそおれえ。
⑨ あまくま巡(みぐ)てぃぬうさ

【解説】
 動詞としての本来の意味を殆ど失い、動詞の下に付いて、助動詞のような補助的な役割を担うものを補助動詞とするという概念とその用法は概ね日本語のそれに似ています。
 ただ、どの種の動詞をその範疇とするかについては議論が分かれます。例えば新選国語辞典(小学館)では「生徒である」の「ある」についても補助動詞として扱われています。
 沖縄語のおける補助動詞は説明を付け足さなくてはいけません。例えば、「見ちんんだん(直訳=見てもない)」「食でぃんんだん(直訳=食べてもない)」等の日本語への訳文は、過去形で「見た事ない」、「食べた事が無い」とした方が適切です。
 また、沖縄語独特と思われる「―歩っちゅん」及び「―はゆん(去ゆん、走ゆん)」も補助動詞として扱います。なお、例文としては取り上げていませんが、「行く」「来る」の丁寧語も、またそれらの目上語である「めんせえん」も補助動詞であるといえます。

例文③ 「まじゅん」は、「まじゅい」、「まんな」、「しいてぃい」、「しいてぃいま」という地方もあります。「まじゅん」以外は『沖縄語辞典』にはありません。

  
【応用問題】
 次の日本語文を補助動詞を用いた沖縄語文に直しなさい。
① 三味線は弾いた事がない。
② 母はいまだに、パソコンを使った事もありません。
③ お茶でも飲んでいきませんかねえ。
④ 子供たちも、連れてきなさい。
⑤ 貴方はここで、何をしているのか。(「歩っちゅん」で)
⑥ 買い物をしているのだけど。(「歩っちゅん」で)
⑦ 面はゆいけど、言うだけは言ってみるよ。
答え:
① 三味線(さんしん)や、弾(ふぃ)ちぇえんだん。(三味線やふぃ弾ちんだん)
② 母(あんまあ)や未(なあ)だぐとぅ、パソコン使(ちか)てぃんなあびらん
③ 茶小(ちゃあぐぁあ)やてぃん、うさがてぃめんそおらんなあ。
④ 子(くぁ)ん達(ちゃあ)ん、そ連(そ)うてぃめんそおれえ。
⑤ うんじょゅお、くまんじ、何(ぬう)し、歩(あ)っちょおが。
⑥ 買(こう)い物(むん)しどぅ歩(あ)っちょおしが。
⑦ 面浅(ちらあさ)さあ、あしが、言(ゆ)るうっさあ、言(い)ちぬうさ
註:「面浅さあ、あしが」は「面浅さしが」でもよいです。