日本語

① 計算する場合は、集中して頑張れよ。
② これは本当に、どういうわけか。
③ 君も一緒に、行くわけ。
④ 注意散漫の場合は何もしない方が良い。
⑤ おお、ちょうど、いいときに居合わたね(来たね)。
⑥ それを売るなら今がそのとき(機会)だよ。
⑦ 祖父が亡くなる際は、どうすればよいだろうか。

うちなあぐち

① さんみんするばあや、ちゅかたなてぃうみはまりよお。
② くりえ、実(じゅん)に、何(ぬう)やるばあが。
③ 汝(やあ)ん、まじゅん、行(い)ちゅるばあ
④ しょう入(い)っちぇえ無(ね)えらんばすお、何(ぬう)んさんしえまし。
⑤ とお、いいばす、来(ち)ぇえさ。
⑥ うり売(う)ゆるむんやらあ、今(なま)ぬばすやさ。
⑦ 御主前(うしゅめえ、うすめえ)ぬばすお、如何(ちゃあ)し、しえ済(し)まびいがやあ。

 
【解説】
 「ばあ」と「ばす」は意味が殆ど重なりますが、「ばす」の意味は少し広いです。

◆ばあ:時、機会、場合、頃合、わけ等を表わす名詞。疑問助詞ではありませんが、文末にきて、尻上がりに言うときは、疑問文のように使います。これに続く用言は連体形となるのが普通ですが、慣用的に終止形となる事も多々あります。例:「やんばあなあ(であるわけかい)」、「行ちゅんばあ?(行くわけ?)」等。
◆ばす:時、機会、場合、頃合、わけ、特に不幸の折などを表わす名詞。但し、「場所」の琉球読み(ばしゅ)となる場合もあります。なお、次の使い方については、意味的な差はないとする説がありますが、現実には気にする人もいますので注意を要します。
「いいばあやさ」=「(否定的な行為に対して)いい気味だ」。多くは悪い事をした人に対して悪い意味で使います。
「いいばすやさ」=「ちょうど、良いタイミングだ」「(肯定的な行為に対して)よかった」。良い意味で使います。
◆ちわ:「きわ際」、「とき」という意味の文語。「ばす」、「ばあ」と重なります。例:「ん出ぢた立ちゅるちわ際やわか別りぐりしゃよ」(「ニ見情話」より)。
例文④ 「そう(しょう)入ゆん」は子供等に対して言う場合は、「おりこうさん」ぐらいの意味に使われ、大人に言う場合は「しっかりしている」等の意味に使われます。「精」「性」等が当てられる場合が多いです。

例文⑦ 「死亡する際」の「死亡する」という表現が略されています。年配世代は人の死亡を口にするのは忌み嫌う習慣があります。この世代の消滅とともに、おそらくはこの文例の用法も消えるのでしょうか。
  
【応用問題】
 次の沖縄語文を日本語文に直しなさい。
① うんなばあどぅ、行逢(いちゃ)あらりいる。
② いいばす、語(かた)てぃ取(とぅ)らちぇえさ。
③ 汝(やあ)や、いいばあやさ、や悪(や)な事(くとぅ)すくとぅ。
④ あんまさるばすお、けえ憩(ゆく)れえわ。
⑤ うったてぃどぅ、やんばあ(註)。
答え:
① そんなときにこそ、逢えるのだ。
② よく、語ってくれたよ(言ってくれたよ)。
③ 君は、いい気味だよ、悪い事をしたんだもの。
④ 気分が悪いときは、休んでしまってよ。
⑤ わざとなのかい。

註:「やんばあ」は連体形を用いて「やるばあ」とする事もあります。