比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2013年10月

うちなあぐち

 あんせえ、接続詞(しちずくし)にちいてぃ語(かた)ら。
 やしが、接続詞ぬわ分きい様(よう)にちいてえ、色々(いるいる)とぅあん。
 やくとぅむしか、顔(かあ)振(ぶ)いする所(とぅくる)ぬあらあ、延(ぬ)びてぃ取(とぅ)らし。
 接続詞え、言(い)いどぅんせえ、自(どぅう)や前(めえ)ぬ文(ぶん)ぬんかい、後(あとぅ)ぬ文ぬんかいんたっ加(くぁ)あてえ居(をぅ)らんしが、二(たあ)ちぬ文(ぶん)、繫(ちな)じゅる語(くとぅば)ぬ事(くとぅ)。
 あんし また、文たっ加(くぁ)あさあ。やせええやしが、接続助詞とお如何(ちゃ)ぬ風儀(ふうじい)し違(ちが)ゆが。
 助詞(じゅし)え、「―くとぅ」、「―しが」ねえし、文末(ぶんしい)んかいたっ加(くぁ)あてぃ、接続(しちずく)しみゆる語。むっとぅん、二ちぬ意味(ちむええ)や似(に)ちょおん。
 うりかあぬ品詞(ひんし)ぬ考(かんげ)え様や日本語(やまとぅぐち)ん同(い)ぬむんやん。
 やくとぅんでぃち、諸同(むるい)ぬむんやる訳(わき)えあらん。例(たとぅ)れえ「ゆうしいねえ」、「後(あとぅ)ぬうじゅみ」、「ちゃあそおてぃん」、「言いどぅんせえ」、「言ちいちいねえ」、「何がんでえ」んでえや、接続詞がやら文がら、あらんでえ別(びち)ぬむんがやら、意見(かんげえ)ぬ分かりゆん。
 やしが、接続詞くるが文から変形(ひんきい)・派生(はしい)・独立(どぅうたっちい)し来(ち)ょおるむんやんでぃち考えらりいん。
 やてぃ、意見ぬ違てぃ心配(しわ)んさんてぃ済(し)むん。また日本語ぬ「-て」や接続助詞どぅやしが、沖縄語(うちなあぐち)於(をぅ)とおてえ接続態(しちずくてえ)んでぃる言(い)ちょおる。言いどぅんせえ、沖縄語とぅ日本語とおに似ち、また似らんむぬんやん。
 とおなあ、話ぬあま曲(ま)がいく曲がいし、何(ぬう)ぬ話しがやたら、やまちりとおいぎさん。やしが、御主(ぐすう)よう、文章(ぶん)んでぃせしえ、どぅくだら、接続詞使(ちけ)え強(ぢゅう)されえ、後ぬうじゅみ却(けえ)てえ、風儀(ふうじ)ん無(ね)えらんなゆくとぅ、とぅてぃん、思(うみ)い切(ち)っとぅ外(はん)ち、読者(ゆまあ)んかい悟(さとぅ)らすせしえまし。やてぃ、言語(くとぅば)ぬ先生(しんしい)かたくじら生徒(しいとぅ)ん達(ちゃあ)や、いふぃえ肝掛(ちむが)きり。
 あんややてぃんちゃあそおてぃん、使(ちか)らんでえならんばそすお使らんでえならん筈(はじ)やしまた、悪(や)な文(ぶん)書(か)ちゃあぬ我(わあ)が言い入りらんでぃさんてえまん、取(とぅ)い受(う)きぐるさる筈(はじ)やしが
  

例文の日本語意訳

 では、接続詞について話そう。しかし、接続詞の篩い分けについては様々な考えがある。
 だからもし、首を傾げるような事があればご容赦願いたい。
 接続詞は、いわば、自らはその前の文にも後の文にも付かないが二つの文を繫ぐ語の事。そしてまた、文をくっ付け役。だがしかし、接続助詞とはどのように違うのか。助詞は、「―(だ)から」、「―けど」のように文末に付いて接続させる語。もっとも二つの意味は似ている。
 そのような品詞の分類は日本語も同じである。だからといって、全て同じという訳ではない。例えば「ひっよとすると」、「結局」、「どうしても」、「いわば」、「つまりは」、「なぜかといえば」等は接続詞なのか文なのか、あるいは何れでもないのか、意見が分かれる。
 だが、接続詞自身が文から変形・派生・独立したものであるとも考えられる。よって、意見が違っても心配しなくもよい。また、日本語の「-て」は接続助詞なのであるが、沖縄語では接続態と称している。言わば、沖縄語と日本語とは似て、また非なるものである。
 さて、話が脱線し何の話題がだったか混乱しているようだ。しかし、読者のみなさん、文章というのはあまりにも接続詞を使い過ぎると、結局、むしろみっともなくなるから、いっそのこと、思い切って言外に隠し読者の読解力に任せる方が良い。よって、言語の先生はじめ生徒の皆さん方は少しは気にして欲しい。
 そうではあっても、どうしても、使わなければならない場合は使わなければならないだろうが。それに悪文家の私が言っても説得力はないだろうけど。

  
【解説】太字が接続詞及び接続助詞の一部です。例文にはありませんが、「やいびいしが(ですが)」、「あんさびいねえ(それでは)」等、用言から派生した接続詞にはその丁寧語(形)もあります。

  
【応用問題】右の沖縄語文から接続詞を整理しすっきりした文にしてください。答えは各自の感性にお任せいたします。

日本語

①お金がないからこそ、奢らないのだよ。
②嫁と一緒に買い物しに行った。
③夫と一緒に、訪ねてお出で。
④子供は寝た振りをしている。
⑤しようにも、できもしない事をするもんじゃない。
⑥足を痛めて、歩きかねている。

うちなあぐち

①銭(じん)ぬ無(ね)えらんどぅ(無えんどぅ)、てぃでえらんどぅ
②嫁(ゆみ)とぅまじゅん(まじゅい)、買(こ)うい物(むん)しいが行(ん)じゃん。
③夫(うとぅ)しいてぃい(しいじい、しいてぃいま)、巡(みぐ)てぃ来(く)わ。
④童(わらび)え寝(に)んたん振(ふう)うなあそおん。
⑤さららんしいや、すなけえ。
⑥足痛(ふぃさや)まち、歩(あ)っちいかんてぃいそおん。

  
【解説】
使用頻度の高い慣用的な言い回しを幾つかまとめてみました。
◆「否定文+どぅ」:強調を表わす助詞「どぅ」又はその清音「る」は基本的にはどの語にも付き、これに係る肯定文は、通常は連体形で結びます(第3講参照)が、例文①、②のように否定文に接続する場合は文末が「んどぅ」又はその清音「んる」となります。様々に解釈できますが、否定助動詞の「結び形」と考えられます。否定文の連体形は終止形も同形ですが、結びの場合だけ語尾部分が「んどぅ」となるという解釈です。
◆まじゅん、「まじゅい:「一緒」という意味の名詞。「名詞+とぅ+まじゅん」という使い方をします。「まじゅん、行か(一緒に行こう)」という場合は副詞となります。「まじゅい」は『沖縄語辞典』にはありません。
◆しいてぃい、しいてぃいま、しいじい:「と共に」、「と一緒に」という意味。名詞に直接付いて用いますので、「まじゅん行か」のように副詞的に「しいてぃ行(い)か」という使い方はできません。何れも『沖縄語辞典』にはありません。
◆「ふうなあ」:「振り」、「真似」という意味の名詞。動詞(接尾語説有り)に「すん」を付けて、「振りをする」となります。類語の「なじき」、「なじきい」、「なじきゆん」については前講参照。
◆「動詞未然形+らん+動詞連用形」で、「―できない、やり」等と直訳ではチンプンカンプンな意味となりますが、「―しようにも、やりづらい」、「できもしないのに、する(やる)」、「いやいやながら、する」等の意味合いで用いられます。
例:「生(い)ちからん生(い)ちち」(生きようにも生き難い)。「実(な)ならん実(な)い」(みの実ろうにも実り難い)。
◆「かんてぃい」:動詞連用形に付く接尾語で「―しかねる」の意味になります。
例:「言いかんてぃいそおん」(言いかねている)、「食みいかんてぃいすん」(食べかねる)。

  
【応用問題】
次の文を( )内の語句を使う文に直しなさい。
①勉強さんくとぅ、試験ぬんかい掛からん。(どぅ)
②孫んそ連うてぃ、めんそおれえ。(まじゅん)
③どぅし友ち連りてぃ、泳じいが行じゃん。(しいてぃい)
④勉強しいなじきいし、漫画見ちょおん。(ふうなあ)
⑤書ちかんてぃいそおれえ、書くな。(書からん書ちい)
⑥なあ、仕事、辞みる積む合やん。(―ちやん)

答え:
①勉強(びんちょう)さんどぅ、試験(しき)ぬんかいか掛からんどぅ。
②孫(んまが)とぅまじゅん、めんそおれえ。
③友(どぅし)しいてぃい、泳(ゐい)じいが行(ん)じゃん。
④勉強そおん振(ふ)うなあし、漫画(まんが)見(ん)ちょおん。
⑤書(か)からん書(か)ちいやすな。
⑥なあ、仕事(しくち)、辞(や)みゆんちやん。

日本語意訳:
①勉強しないから試験に落ちるのだ。
②孫と一緒にお越しください。
③友だちと一緒に泳ぎに行った。
③勉強しているふりをして漫画を読んでいる。
⑤書こうにも書けないなら書くな。
⑥もう仕事を辞める積もりだ。

↑このページのトップヘ