うちなあぐち

① 月(ちち)え如何(ちゃ)ぬゆうな物(むぬ、むん)から成てぃが居(をぅ)ら。
物覚(むぬうび)てぃからどぅ、物習(むんなら)あしえする。
物(むぬ、むん)ぬまあされえ、強(ちゅう)とおるしいじやん。
④ 人(ちゅ)ぬ物(むぬ)そおる側(すば)からあやめえくさめえさんけえ。
⑤ あんすか、銭費(じんてえ)ち、汝(やあ)如(ぐと)おりいや物(むぬ)お思(うま)あん
物(むぬ・)お良(ゆ)う言(ゆ)るむんやくとぅ、良(ゆ)う考(かんげ)えてぃ言(い)らんでえ。
物(むん)なかい凭(むた)りいねえ、魂(まぶやあ)迄(までぃ)けえ落(う)てぃいがすら。
⑧ 諸(むる)なかいみみがってぃ、なあ、物(むぬ)ん事(くとぅ)ん思(うま)あらん

日本語

① 月はどのような物質からなっているのだろうか。
物心ついてから、礼儀作法を教えるべきである。
食事が美味しければ、体力が回復しているという事だ。
④ 人が炊事している横から邪魔するんじゃない。
⑤ こんなにもお金を使い込んで、君って分別も無い
物事は言葉通りになるので、良く考えて言わないと。
魔物に取り憑かれたら魂迄抜け落ちてしまうだろうか。
⑧ 皆に苛められて、もう、どうして良いか分からない

【解説】
 日本語に訳する場合、「むぬ、むん」は文脈によっては異なる意味になります。「むぬ」と「むん」は慣用的に使い分ける場合もあますが、接尾語「むん」以外は、その使い分けに、さほど神経質にならなくてもよいと思います。

例文①ここでの「物」は本来の「物」、「物質」の意味です。
例文②「物覚」は「物心(ものごころ)」、「物習あし」は「躾・礼儀作法・(人としての)道理等を教える事」の意味です。
例文③ここでの「物」は「食べ物」、「食事」等の意味です。沖縄では「物ぬまあさる」事は健康のバロメータです。
例文④ここでの「物」は「炊事、特には食事の支度」の事です。「物すがゆん」とも言います。
例文⑤「物思あん」は「物ん思あん」、「物お思あん」等、「物」に「ん(も)」、「お(は)」を添える変形もあります。
例文⑥ここでの「物」は「魔物」の意味で、「物に凭りゆん」は「神隠しにあう」等の意味もあります。
例文⑦「物事は言った通りになる」ので、縁起の悪い事は言わないほうが良い」という思いが込められています。「まぶやあ、まぶい」は「生霊」、「たましい」は死者の霊魂、「たまし」は「精神、魂」の意味です。
例文⑧「物ん事ん思あん」は例文⑤の「物思あん」に「事ん」を足したものですが、例文の様に意味合いは一変します。

  
【応用問題】
 例文を参考に、次の文中の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。
(物習あしされえ、物そおる、物お良う言る、物とぅ無礼、物ん事ん思あらん)

物事(むぬぐと)お、いいくる口(くち)ぬ緒(をぅう)追(う)うゆるむぬやん。
② 母(あんまあ)が物(むぬ)すがとおるばすお、手(てぃ)がねえし取(とぅ)らさんなあ。
③ 我(わん)ねえ、如何(ちゃあ)しが、し、済(し)むらあ分(わ)からんなとおっさあ。
④ 彼(あり・)え、しちきたれえ、根性(くんじょう)から、くん返(けえ)えちょおさ。
⑤ 食(か)み残(ぬく)しえねえ、食(か)み物(むぬ)んかい無礼(ぶりい)なゆんどお。

答え:
① 物お良う言るむぬやん。
② 物そおる。
③ 物ん事ん思あらん。
④ 物ならあしされえ。
⑤ 物とぅ無礼(註)。

日本語意訳
①物事は大抵の場合、言った通りになるもだ。
②母が食事の支度をしている時は手伝ってくれないかい。
③僕はどうすればよいか分からなくなったよ。
④彼は礼儀作法を教えたら意地悪性から立ち直ったよ。
⑤食べ残したら食べ物に失礼だよ。
(註)「物とぅ無礼」自体も「食べ物に対して失礼」という意味の慣用句です。