比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2015年06月

うちなあぐち

① あぬ日(ふぃい)ぬ事(くとぅ)ぬ目(みい)ぬ緒(をぅう)に下(さ)がてぃ、夜(ゆる)ん目固(みいぐふぁ)いそおん。
目(みい)こうがあないねえ面目口(ちらみいくち)までぃん、けえ変(か)わゆん。
③ 夏(なち)ぬ夜(ゆる)お、しぷたら暑(あち)さぬ目固張(みいぐふぁ)固張(ぐふぁ)し眠(にん)だらん。
④ 兄(しいざ)なかい目光(みいふぃちゃ)らってぃ、弟(うっとぅ)お竦目(しかみい)ぐるぐるそおたん。
⑤ 恥(は)じかさがあら、目(みい)ん振上(ふや)ぎらんでぃんさんたん。
目強(みいちゅう)やあ呉(くぃ)りんでぃち、童(わらび)え、目(み)様口(ようくち)様(よう)さびたん。
⑦ 苦々(んじゃんじゃ)あとぅ言(い)らってぃ、目元(みむとぅ)暗々(くらぐら)とぅなるが心地(しんち)やさ。
⑧ 男(ゐきが)ぬ白目(しるみい)ふっちぇえらちゃれえ、女(ゐなぐ)お、目(みい)ん白(しる)なち笑(わら)たん。

日本語

① あの日の事が瞼に焼き付いて離れず、夜も眠れない。
目が窪むと顔全体の様相まで変わってしまう。
③ 夏の夜は蒸し暑いので寝付きが悪くて眠れない。
④ 父に睨まれ、男の子はびくびくしていた。
⑤ 恥ずかしいのか目を上げて見ようともしなかった。、
お目覚を頂戴と子供は目つきや口の形で合図しました。
⑦ ずけずけ言われて、目の前が暗くなる様な感じだよ。
⑧ 男が瞼を返して白目を出すと、女は目を細めて笑った。

【解説】
 「目元暗々とぅ」等、文学から生まれた表現でも話し言葉で大いに用いたいものです。

例文①「目ぬ緒に下がてぃ」は「瞼に焼き付いて離れない」。琉日語共に文学的表現だが話し言葉としても通用します。
例文②「目こうがあ」は「目が窪む事」で前講の「目皮ぬふぃっ込むん」と同じ意味。「面目口」は「顔全体」の意味です。「面見口(第33講)」や「目口(表情)」との違いに要注意です。
例文③「目強張強張」は筆者の当て字なので要注意です。「目固目固」でも可能です。36講参の例文④参考して下さい。
例文④「目光(みいふぃちゃ)ゆん」は直訳では「目光る」ですが、「目を光らす」つまり「(目を光らす様に)睨む」の意味です。
例文⑤「目振上(みいふぃや)ぎらん」は「(相手を)見ようともしない」、「(恥ずかしくて)顔が上らない」等の意味です。
例文⑥「目強やあ」は「おめざ」。首里語では「目固(みいくふぁ)やあ」ですが、同語には「不眠症」という意味もあります。「目様口様」は「目つきや口の形で何らかの合図を送る事」の意味。類語に「手様足(てぃいようふぃさ)様(よう)」(手振り足振り)があります。
例文⑦「目元暗々とぅ」は「目の前が(失望感等で)暗く」という意味の文学的表現です。
例文⑧「白目ふぃっちぇえらすん」は「白目を剥く」。「目ん白なち」は「白目になるほど目を細めて」の意味。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。
(面目口、目強やあ、目こうがあなとおくとぅ、目ん白なち笑いねえ、目光ちゃいねえ、目元暗々とぅそおん)

① あい、起(う)きみそおちい、だあ、目固(みいぐふぁ)ふぁやあ呉(くぃ)らやあ。
② 汝(やあ)が目笑(みいわれ)え小(ぐぁあ)しいねえ、彼(あり)え、何(ぬう)ん「おお」やさ。
③ あんまあや、目皮(みいがあ)ぬふぃっ込(く)どおくとぅ、うたてぃが居(をぅ)ら。
④ 今(なま)ぬ政治(しいじ)向(む)ちえ、何(ぬう)がなとおら分(わ)からな、暗々(くらぐら)とぅそおん。
⑤ 汝(やあ)面影(ちらかあぎ)し、あんすか、童(わらび)、見詰きいねえ、けえ竦(しか)ますんどお。
答え:
① 目強やあ。
② 目ん白なち笑いねえ。
③ 目こうがあなとおくとぅ。
④ 目元暗々とぅそおん。
⑤ 面目口、目光ちゃいねえ。

日本語意訳
①あら、起きましたか、ではお目覚めのおやつをあげようね。
②君が微笑むと彼は何でもOKだよ。
③母は瞼がへこんでいるので、疲れているのかしら。
④白を黒と言い張る今の政治の動向はどうなるか分かず先が暗い。
⑤君の顔付きで、そんなに、子供を睨んだら、怖気させてしまうぞ。

うちなあぐち

① あんし、朝寝(あさに)しいねえ、目虫(みいむし)ぬ這(ほ)うゆんどお。
② 政府(しいふ)お沖縄(うちなあ)の総考(すうかんげ)えや目(みい)ぬ尻(ちび)しん見(ん)だん
目(みい)いんでえぬ出(ん)じてぃ、目姦(みいかしま)さぬないびらん
④ うたてぃ、目(みい)だっさんあい、目皮(みいがあ)んふぃっ込(く)どおん
⑤ あんし、目(みい)ぐるぐるまあいし、何(ぬう)とぅめえとおが、汝(やあ)や。
⑥ くぬ病(やんめえ)、くん直(のお)ちゃんでえ、目張(みいは)い事(ぐとぅ)どぅやる。
目(みん)ちゃんちゃんなち、根性(くんじょう)叫(あ)びいすし(せ)え風儀(ふうじ)ん無(ね)えん。
目(みい)ぬ敵(かな)あな何(ぬう)んくぃん、目(みい)くんだあなてぃどぅ見(み)いゆる。

日本語

① そんなに、朝寝坊すると、目に虫が這うぞ。
② 政府は沖縄の世論は(軽蔑して)無視している
ものもらいが出来て、目が煩わしいです
④ 疲れて、目もだるいし、瞼もへこんでいる
⑤ そんなにきょろきょろして、何を捜しているのか、君。
⑥ この病から持ち直したとは、意外な事だ。
⑦ 目をぎょろつかせて、怒声を浴びるのは見っともない。
目視力が衰えて、何もかも、見てはっきりしない

 
【解説】
 例文以外の目の部位を表わす語である「目元(みむとぅ)」、「目(みい)ぬ芯(しん)(瞳)」、「目眉(みいまゆ)」、「目玉(みんたま)」等や関連語である「目糞(みいくす)」、「目(みい)こうがあ(目窪み)」、「目窪(みいくぶう)(目が窪んでいる者)」、「目涙(みいなだ)(涙)」等の紹介は省略します。

例文①「目虫ぬ這うゆん」は朝寝坊を嘲る慣用句です。
例文②「目ぬ尻」は「目尻(まなじり)」。「目ぬ尻しん見だん」は「(あなどって)無視する」、「眼中におかない」の意味です。
例文③「目(みい)んでえ」は「ものもらい」。地方によっては「目(み)んだい」。「目姦さん」は「目が煩わしい」「見るに堪えない」。
例文④「目だっさん(首里語は『目だるさん』)」は「目がだるい」。「目皮」は「瞼」。「目皮ぬふぃっ込むん」は疲労等で「瞼がへこむ事」。逆に「目皮ぬ起りゆん」は「(元気が回復して再び)瞼が盛り上がる」の意味となります。「目返らあ」ともいう。
例文⑤「目ぐるまあい」は前講の「目ぐるぐるう」と共通の意味もありますが、ここでは「目をきょろきょろ」の意味。
例文⑥「目張い事」は「目を見張るような事」つまり「意外性があり驚くべきような事」の意味です。
例文⑦「目ちゃんちゃんなすん」は「目をぎょろぎょろさせる」の意味。
例文⑧「目ぬ敵ゆん」は「目が健康である」。「胴がな敵ゆん」は「体全体が健康である」。「敵あっとおみ」は「元気ですか」ぐらいの意味。例文の「敵あな」は「敵わず」の意味。「目くんだあ」は「見てもはっきりしないもの」の意味。

 
【応用問題】
 例文等を参考に、次の文中の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(目ぬ尻しん見だん、目張い事。目ぬふぃっ込どおいびいん、目姦さん、目ぬ敵あな)

① 難(むち)しいっ人(ちゅ)ぬ、胴(どぅう)持(む)ち外(はん)でぃとおんでえ、思寄(うみゆ)ゆらん事(くとぅ)やん。
② 我(わん)ねえ、あいゆかん、うたてぃ、目(みい)返(けえ)らあなとおいびいん
③ 年寄(とぅすい)ぬ面(ちら)あ見(み)いちゃくんねえんでぃ言(ゆ)しが、却(けえ)てえちびらあさん。
④ 近頃(ちかぐる)お目ぬ悪っさなやあに、書物(しゅむち)ぬ字(じい)ん、見(ん)じい難(ぐり)さいびいん。
⑤ 年寄(とぅすい)ぬ持(む)ち過(くぁ)そおてぃん、見(ん)だんでぃんさん、くぬ悪魔(あくま)ひゃあ。
答え:
① 目張い事。
② 目ぬふぃっ込どおいびいん。
③ 目姦さん。
④ 目ぬ敵あな。
⑤ 目ぬ尻しん見だん。

日本語意訳
①優秀な人が身を持ち崩すとは以外な事だ。
②私はとても疲れて、目がだるいです。
③老人の顔は見るに堪えないというより寧ろ素晴らしい。
④近頃は目が悪くなり、本の文字も見辛いです。
⑤年寄りが荷を持ち過ぎても見ない振りして、この意地悪者奴。

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