うちなあぐち

① 昨日(ちぬう)迄(まで)え口(くち)にいさたしが、今日(ちゅう)からあ口まあさん
② 口直(くちのお)しぬ積合(ちむええ)し、じょうふぃたケーキ食(か)でぃ口破(くちやん)とおん。
③ 高昼間(たかふぃるま、たかひるま)ないねえ、口(くち)寂(さび)っさないくとぅ、口作(くちじゅく)いさな
④ 物事(むぬぐと)お口(くち)追(う)うゆくとぅ、うかいとぅ、口しんだかすな
⑤ くっ達(たあ)や、口汁(くちしる)じいじいするか、口(くち)返答(ふぃんとう)そおたん
⑥ 前(めえ)や口(くち)ぬ前(めえ)びけんどぅやたしが、今(なま)あ食(くぇ)え口(くち)ぬ加増(かずう)てぃ、口とぅめとおん
口難(くちぐふぁ)あ口にんさららん物言(むぬい)い方(かた)んすくとぅ厄介(やっけえ)やん。
口軽(くちが)っさる者(むん)ぬどぅ、口吹(くちぶう)うちんする

日本語

① 昨日迄は食欲がなかったが、今日からは食欲がある
口直しの積りで、いつもケーキを食べ、食べ癖が付いた
③ 昼後には何か食べたくなるので、ちょっと食べようか
④ 物事は言った通りになるから、うっかり、口を滑らすな
⑤ 彼らは、唾を垂らしまくる程、口答えしていた
⑥ 以前は自分が食う分しか働かなかったけど、今は、食費が増えたので、職を捜している
毒舌者は、絶対に口にすべきでない事も言うから厄介だ。
口の軽い者こそ、ほらも吹くのである

【解説】
「苧口(ううぐち)」(おこげ)、「胸口」(みぞおち=『落とぅし』)、「帯しい口」(帯をする所)等の単語の組成となる「口」や「口下手」、「口癖」、「口止み」、「口閉うゆん」等、日本語と殆ど同じ様な句は省略します。

例文①「口にいさん」は「食欲が無い」。「口まあさん」は「(病後等に食欲が出てきて)何でも美味しい」。
例文②「口直し」は日本語に同じ。「口破じゅん」は「口が肥える」「美食癖が付く」等の意味。
例文③「口寂っさん」は「何か食べたい欲求に駆られる」という意味。「口作い」は「少し何か食べる事」。
例文④「口追うゆん」は「言った通りに成就する」という意味で「言葉(くとぅば)追(う)うゆん」も同じです。「口しんだかすん」は文字通り「口を滑らす」、「うっかり、言ってはいけない事を口にする」等の意味です。
例文⑤「口汁」は「涎」。「~じいじい」は「たらたら」、「液体が垂れる様」を表わす擬態語です。「油じいじい」という慣用句もあります。「口返答」は「口答え」の意味です。
例文⑥「口ぬ前」は「自分一人が食う分だけ」という意味です。「口とぅめえゆん」は「職を探す」という意味です。
例文⑦「口難あ」は「口(言葉)が悪い者」、「喋り方が荒々しい者」等の意味です。「口にさららん物言い方」の「~さららん」は「できない」。句全体では「(普通)は口にする事の出来ない様な事を(平気で)言う事」の意味となります。
例文⑧「口軽っさん」は文字通り「口が軽い」。「口吹ち」は「法螺を吹く」、「大言壮語」の意味です。
 
【応用問題】
例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(口とぅめえゆん、口けえ破とおん、口吹ち、口にいさん、口追うゆくとぅ)

① 母(あんまあ)や言葉(くとぅば)追(う)うくとぅんでぃち、「死(し)ぬ」でえ言(い)らんたん。
② 彼(あり)え、大物(うふむに)言(い)いする癖(くし)ぬあくとぅ、厳重(じんじゅう)さあ無(ね)えらん。
③ 今(なま)ぬ世(ゆう)や、仕口(しくち)とぅめえてぃ、働(はたら)かんでえ、食(か)み外(は)じゃきゆん。
④ あんまさぬ、何(ぬう)ん食(か)みい欲(ぶ)しゃあ無(ね)えらん
⑤ 旅(たび)んかい行(ん)じ、旨(まあ)さ物食(むんか)むる癖(くし)ぬ付(ち)ちょおん
答え:
① 口追うゆくとぅ。
② 口吹ち。
③ 口とぅめえてぃ。
④ 口にいさん。
⑤ 口けえ破とおん。

日本語訳①母は言った通りになるからと、「死ぬ」とは言わなかった。②彼は大言壮語を言う癖があるので信用できない。③今は職に就かないと食にありつけない。④気分が悪く、食欲がない。⑤旅行に行って美味しい物を食べる癖が付いた。