比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2016年01月

うちなあぐち

わくい手(でぃい)ぬあてぃん手汚(てぃいはご)おさてぃん、わくてえならん。
② 二才(にいせえ)や手(てぃい)ねえい足(ふぃさ)ねえい手向(てぃいん)けえびけえんそおん。
③ 日中(ふぃっちい)、手(てぃい)揉(み)みじしい強(じゅう)さぬ、手(てぃい)だっさなとおん。
手相(てぃそう)手(てぃい)ぬ綾(あや)やくとぅ手ぬ腸(わた)、見(ん)でぃわる分(わ)かゆる。
手取(てぃいとぅ)ら取(とぅ)らそおる所(とぅくる)んかい居(をぅ)るむぬ、手渡(てぃいわた)しせえわ。
⑥ 昔(んかし)え左手長(ふぃざいでぃいなが)あ手車(てぃいぐるま)入りらったんでぃぬ事(くとぅ)やさ。
手(てぃい)ぐうさんどぅそおたるむぬ、いな手枕(てぃいまっくぁ)けえそおん。
手(てぃい)弄(むた)あんそおたれえ、手むちゃあむちゃあけえそおん。

日本語

挑発手段があっても歯がゆくても、挑発してはいけない、
② 青年は手を出し足を出すで、反抗ばかりしている。
③ 一日中、マッサージをし過ぎて、手がだるくなっている。
手相掌の筋の事だからを見てしか分からない。
手が届くほどの近くにいるのだから、手渡しして。
⑥ 昔は、泥棒手枷をはめられたとの事さ。
後ろ手をついて坐っていたのに、もう手枕して寝ている。
手で悪戯をしていたら、手がねばねばしてしまっている。
 
【解説】
「手」の卑語「手っこう」は、嘗ては子供同士でよく使っていましたが、大人になってからは殆ど耳にしません。

例文①「わくゆん」は「悪さをする」で「わくい手」は「悪さをする手・手段」。「手汚おさん」は「もどかしい」、「歯がゆい」。
例文②「ねえゆん」は「(手、足、腹等を)出す」。「手ねえい足ねえい」で「手足を出す」。「手向けえ」は「反抗」。
例文③「手揉みじ」は「手もみ」、「按摩」。「みみじゅん」は「揉む」、「揉める」。転じて日本語の「揉んでやる」のように「苛める」、「懲らしめる」の意味もあります。「手だっさん」(首里語『手だるさん』)は「手がだるい」。
例文④「手ぬ綾」は「掌の筋」。「手の腸」は「掌」で52講の「手平」及び後講の「手ぬ裏」と同じ。
例文⑤「手取ら取ら」は「手が届くらいの」の意味の副詞。
例文⑥「手長さん」は「盗み癖がある」と慣用的な意味。「左手長あ」その名詞形。「手車」は「(罪人等に填める)手械」。
例文⑦「ぐうさん(首里語「ぐうしゃん」)」は「杖」。「手ぐうさん」は「手を後に回して上体を支える事」。
例文⑧「むたあん」は「-弄び」という意味の接尾語。「手弄あん」で「手でする悪戯」。「手むちゃむちゃあ」は「掌に餅がくっ付いたようにねばっこくなる様」。

【応用問題】
例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(手取ら取らそおる所、手むたあん、手汚おさん、手揉みじ、左手長あ)

① 御主前、按摩しいねえ、いそうさする筈。
② ゆくし物言いさあや、盗人ぬ親(諺)。
直ぐ側んかい、あしん、見じい難されえ、年寄い目どぅやる筈。
④ 誰んさんくとぅ、なあ、自し、しい欲しゃなとおん。
⑤ 早くぬ童とぅ今ぬ童とお、手がんまりぬしい様ぬ変わとおん。
答え:
① 手揉みじ。
② 左手長あ。
③ 手取ら取らそおる所。
④ 手汚おさん。
⑤ 手むたあん。

日本語意訳
①お爺さんをマッサージしたら嬉しがるだろう。
②嘘つきは泥棒の始まり〈ことわざ〉。
③すぐ近くにあるものが見づらいのであれば老眼かも知れない。
④誰もしないから、もう自分でしたくなった。
⑤以前の子供と今の子供とでは、手でする悪戯の仕方が違う。

*コメントお、うちなあぐちし、御願えさびら。コメントぬうちなあぐちあらんばすお、返事さんばすんあいびいん。(コメントは沖縄語で御願いします。コメントが沖縄語でない場合は返事がない場合があります)。

うちなあぐち

① 歌持(うたむ)ちん手事(てぃぐとぅ)ん長(なが)さる節(ふし)ぬ稽古(ちいく)する手組(てぃぐ)みそおん。
手(てぃい)ぬ割(わ)りてぃ手業(てぃいわざ)ん、しいぐりさいびいん。
③ 彼(あり)え手細(てぅぐま)やくとぅ、何(ぬう)んくぃいん、手作(てぃづく)いしゆすん。
くまあ手不足(てぃいぶすく)やくとぅ、あぬ人(ちゅ)ん達(ちゃあ)迄(まで)え手(てぃい)ぬ届(とぅどぅ)かん
⑤ 踊(をぅどぅ)い人数(にんず)ぬ手振(てぃふ)いぬ清(ちゅ)らぬ手(てぃい)ぱちぱちいさん。
⑥ 童(わら)達(ちゃあ)使(ちか)いねえ、手足(てぃいふぃさ)纏(まち)ぶいし、手間(てぃま)だありやん
⑦ 彼(あり)が手様足(てぃいようふぃさ)様(よう)するばあや、手(てぃい)とお抱(だ)ちいそおちゅん。
手(てぃい)懐(ぶちゅくる)さあぬまんでぃ、何(ぬう)しみてぃん手鈍(てぃいにい)さん

日本語

① 前奏も歌の合間の長い曲の稽古をする手筈をしている。
手があかぎれして手先の仕事もやりづらいです。
③ 彼は手先が器用だから、何でもかんでも手作りできる。
④ 当方は人手不足なので、あの人たち迄は行き届かない
⑤ 舞踊団の手振りが美しくて、拍手をした
⑥ 子供を使えば、手足纏いになって、手間がかかる
⑦ 彼が手振り足振りをする時は、手を拱いておく
何もしない人が多いので何をさせてもするのが遅い

【解説】
「慣用句・言い回し」としての趣旨に沿うか、微妙な句もありますが、他との比較・参考の為にいれてみました。

例文①「手事」は「歌と歌の合い間の演奏」で「間奏」とは異なります。「手組み」は「手配、準備」等の意味。「手を絡ませること」の意味のある地方もあります。
例文②「手ぬ割りゆん」は「手に皹ができる」。「手業」は「手作業」で前講例文⑤の「手ぬ技」との違いに注意。
例文③「手細」は「手が器用である事」。
例文④「手不足」は前講の「手ぶらあり」に同じ。「手ぬ届かん」は「手が届かない」から発展して「行き届かない」、「及ばない」の意味。
例文⑤「手振い」は「(踊りの)手振り」の事です。なお、日本語の「手振り」は「手(てぃい)様(よう)」です。
例文⑥「まちぶゆん」は「纏わりつく」で、「手足纏ぶい」は「手足纏い」。「手間だあり」は「無駄な手間をかけること」。「手の慣用句・言い回し」として扱うかについては微妙なところ?です。
例文⑦「手様足様」は「手つき足つき」又「手振り足振りする事」。「手とお抱ちい」は「手を拱く事」、「傍観する事」。
例文⑧「手懐」は「手を懐に入れている事」から転じて「何もしない事」。「手鈍さん」は「仕事するのが遅い」。
  
【応用問題】
例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(手足纏ぶい、手懐、手細、手、手、手ぬ届かん)

細工(せえく)勝手(がってぃ)やるっ人(ちゅ)お、仕口(しくち)ん、とぅめえい易(や)っさん。
② 野球(やちゅう)ぬ選(い)びん人(ちゅ)なれえやあんでぃ思(うむ)てぃん、ぞおいなゆみ
③ あぬ童(わらび)え、ふぃっちい母(あんまあ)んかい、たっくぁいむっくぁいそおん。
④ いぇえ、汝(やあ)ん手(てぃい)とお抱(だ)ちいさんようい、手(てぃ)がねえし取(とぅ)らせえわ。
⑤ あんしゅか、手(てぃい)鈍(にい)されえ、暇(ふぃま、ひま)だありどぅやる。
答え:
① 手細。
② 手ぬ届かん。
③ 手足纏い。
④ 手懐。
⑤ 手間だあり。

日本語訳
①器用な人は仕事を探しやすい。
②野球選手になりたいと思っても、到底及ぶものではない。
③あの子は一日中、母親に纏わりついている。
④おい、君も傍観しないで手伝ってくれよ。
⑤そんなに、仕事するのが遅いのであれば、時間の無駄である。

うちなあぐち

① 意地(いじ)ぬ出(ん)じらあ手引(てぃいひ、てぃいふぃ)き手ぬ出じらあ、意地引き。
② 幾(いく)けぬん手掴(てぃいじかあ)んされえ、なあ、手痛(てぃいざ)けえそおん
③ 親(をぅや)あ手近(てぃいぢか)さくとぅ、いいくる手(てぃい)壊(じ)きしいが行(い)ちん。
手(てぃ)んちゃまあ手懐(てぃじ)きゆし(せ)え、手煩(てぃいわちゃ)れえ事(ぐとぅ)やん
手(てぃ)ぬ技(ざ)し、儲(もう)きてぃ、手回(てぃまわ)しぬ行(ん)じょおん。
⑥ 片(かた)手(でぃい)無(む)っこうや、手小(てぃいぐぁあ)びけんし、手押(てぅいう)さ合(あ)ちん済(し)むん。
手墨(てぃしみ)学問(がくむん)しん、手(てぃい)びけえ使(ちか)ゆるっ人(ちゅ)お何(ぬう)んならん。
手平(てぅんだ)ぬうっぴやてぃん、畑(はたき)え、手(てぃい)から放(はな)する'''むぬ(の)おあらん。

日本語

① 怒ったら、手を出すな手を出したら、怒りを収めよ。
② 何回も手掴みしたら、もう、手首が痛くなってしまった'''。
③ 親は近所だから、よく面倒見に行く。
悪戯小僧は手懐けるのは、手を煩わす
手芸で、嫁せいで、生活が楽になってきた
⑥ 片手を失った者は、片腕だけで合掌しても良い。
学問をしても、手をぶらぶらさせるだけの人は役立たん。
狭くて小さくても、畑は手放すものではない。

【解説】
「手」の慣用句・言い回しは地方独自のものがあったり、変意していたりする事がありますので要注意です。

例文①糸満の諺です。「意地」は「意地」等の他も「怒り」の意味あります。「手引ちゅん」は「手を出さない」。
例文②「手掴ん」は「手掴み」。「手業」は「手(先)でする仕事」。「手痛」は「手首の痛み」。
例文③「手近さん」は「身近にいる」、「表通りに面している」等の意味。「手懐きゆん」は「よく世話する」、「手懐ける。
例文④「手んちゃあま」は「手でする悪戯」で「手んちゃあまあ」は「手悪戯する者」。「手煩れえ」は「手を煩わす事」。ここで「手懐きゆん」は、例文③と異なり、日本語と同じく「手懐ける」の意味です。、
例文⑤「手ぬ技」は「手芸、刺繍」等の意味。「手回し」は日本語の「手回し」の他、「暮らし向きが良くなる(ゆとりが出る)事」の意味もあります。
例文⑥「手無っこう」は「手が切れるなどして無い者」で「手無っくう」、「手無おかあ」とも言います。「手小」は「片腕」の意味ですが、多くは「片腕(かたうでぃ)」を使います。「手押合あすん」は「手を合わせる」、「合掌する」の意味で、「手押し上ぎゆん」と言う地方もあります。
例文⑦「手使ゆん」は「空手を使う」や「空手の演舞をする」から転じて、「人が働いているそばで、ただ手をぶらぶらさせているだけ何もしない」の意味ともなります。但し、後者の場合は、多くは冗談で使います。
例文⑧「手平」は「掌」。「手平ぬうっぴ」は「とても狭いもの」。「手から放すん」は「大事なものを手放す」の意味。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。
(手煩れえ事、手痛し、手んちゃま、手懐ゆしえ、手近い所お、手無っくう)

大道(うふみち)え、車(くるま)ぬうかあさくとぅ、良(ゆ)うし。
がんまりしいねえ、婆前(はあめえ)なかい、呪(ぬら)ありやびいんどお。
③ 戦(いくさ)んじ、手(てぃい)無(もう)なとおる人(ちゅ)んまんどおいびいん。
手(てぃい)ぬ首(くび)、痛(や)まち、三味線(さんしん)ぬん、弾(ふぃ、ひ)ちゆさんなとおん。
⑤ 御主前(うすめえ、うしゅめえ)、頓(とぅん)着(ぢゃく)すし(せ)え、何(ぬう)ん手乱(てぃいんじゃ)り(れ)えあらんさ。
答え:
① 手近さる所お。
② 手んちゃま。
③ 手無っくう。
④ 手痛し。
⑤ 手懐きゆし、手煩れえ事お。

日本語意訳
①表通りは車が危ないので気を付けて。
②悪戯をするとお婆さんに怒られますよ。
③戦争で腕を失った人も多いです。④手首を痛めて、三味線も弾けなくなった。
⑤お爺さんの世話をするのは、何も面倒ではないよ。

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