比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2016年02月

うちなあぐち

足(ふぃさ)かやあちゃれえ、足腰(あしくし)ぬ立(た)たんなとお。
② 長(なげ)えさ、足(ふぃさ)まんちいそおらたれえ、足(ふぃさ)ふぃらくどおん
足高(ふぃさだか)あし歩(あ)っちん、足音(あしとぅ、あしうとぅ)お聞(ち)かりいんるむぬやん。
足(あし)どおに(ね)え無(ね)えんしが、足早(ふぃさふぇえ)みてぃちゃあ行(い)ちいさん。
足(ふぃさ)だっさぬ、なあ、一足(ちゅふぃさ)、二足(たふぃさ)ん、歩(あ)っからんなとおん。
諸足(むるびしゃ)、空足(からびしゃ)あし仕口(しくち)そおたれえ、足切(あしじ)りそおん。
⑦ 靴(ふや)くでぃん、ハブ所(どぅくる)、歩(あ)っちゅし(せ)え足汚(ふぃさはご)おさん
⑧ 親(をぅや)ぬ家(やあ)から親戚(ゑえか)ぬ家(やあ)んかい、同(い)ぬ足(ふぃさ)し向(ん)かたん。

日本語

足しげく通ったら、足腰が立たなくなった。
② 長く正座していたら、足が痺れている
爪先立ちして歩いても、足音'''は聞えるものである。
足力は無いけど、早足で、行き続けた。
足がだるいので、もう一足も二足も歩けなくなった。
両足とも裸足で仕事をしていたら、皸足になっている。
⑦ 靴を履いてもハブの良く出る所を歩くのは気味悪い。
⑧ 実家から親戚の家に、そのまま出向いた。。

【解説】
「足」は「膝(ひざ)」からの転化とも言われています。普通は「ふぃさ、ひさ」と言いますが、慣用的に「あし」とも言います。卑語は「あしふぃさ、あしひさ」と言います。「足腰(あしくし)」、「片足(かたふぃさ)」、「足骨(ふぃさぶに)」等、日本語とほぼ同じ語や「足駄(あしじゃ)(下駄)」、「足(あし)てぃびち(豚足料理)」など、単に単語の一部を為す「語」は略します。

例文①「かやあすん(かやあしゅん)」は「持ち運ぶ」の意味で「足かやあすん」は慣用的に「足茂く往復する」の意味。
例文②「足まんちい」は「足を丸めて坐る」の意味で「正座」。「ふらくむん」は「痺れる」。
例文③「足高あ」は「足を高くすること」の意味から「爪先立ち」、「背伸び」の意味。「足音(あしとぅ、あしうとぅ)」の発音に注意。
例文④「足どおに」は「足の力」、「脚力」。
例文⑤「足だっさん(「足だるさん」)」は「足がだるい」。
例文⑥「諸足」は「両足」。「空足」は「裸足」。「足切り」は「足の裏の皸」。
例文⑦「はごおさん」は「汚い」、「気持ち悪い」、「下品である」の意味ですが、「足はごおさん」は「足元が気味悪い」。
例文⑧「同ぬ足」は「その足(で)」。

【応用問題】
例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(足汚おさあ無えんたん、足どおに、同ぬ足し、足高あ、足かやあち)

① 序(ちい)でぃどぅやるむぬ、ちゃあしっちい、行(い)きよお。
② 恋路(くいじ)やれえ、幾(いく)けん、とうん戻(むどぅ)やあしん、うたらんしがる。
③ スポーツぬ選(い)び人数(にんず)お足力(ふぃさじから)ぬありわるんかいないゆうする。
④ 高尾山(たかおさん)ぬ吊(ちい)橋(ばし)え、何(ぬう)ん、足(ふぃさ)あ、がたないさんたん
⑤ 高(たか)はじいや、あどぅ高(たか)くさんてぃん、行逢(いちゃ)ゃゆさ。
答え:
① 同ぬ足し。
② 足かやあちん。
③ 足どおに。
④ 足汚おさあ無えんたん。
⑤ 足高あ。

日本語意訳
①序でだからその足で行ってね。
②恋路なら幾度、行き戻りしても疲れないのに。
③スポーツ選手は脚力があってこそなれる。
④高尾山の吊橋は何も足元が震えなかった。
⑤背高のっぽは、背伸びしなくても届くよ。

うちなあぐち

下手(しちゃでぃい)ねえゆるあたいぬ手引(てぃいふぃ)ち坊主(ぼうじ)とお組(ぐう)なるな。
手癖(てぃいぐし)ぬ悪(わ)っさるっ人(ちゅ)ぬ、人(ちゅ)ぬ家(やあ)んじん手探(てぃいさぐ)いすん
③ 彼(あり)え手節(てぃぶし)ぬあくとぅ、手綱(てぃいんな)ん、ふぃっ切(ち)ちねえらん。
手(てぃい)ごう付(ち)ちょおたくとぅ、手(てぃい)ぬ裏(うら)し面掃(ちらほ)おかったん。
⑤ 我(わん)ねえ手仕(てぃじけ)えそおくとぅ、くぬ仕口(しくち)え手分(てぃわ)きし取(とぅ)らし。
手(てぃい)置(うっちゃ)きなゆる肩(かた)んかいあるゑえ瘡(よう)あ手遅(てぃいうく)りならんうちなかい、早(ふぇえ)く手(てぃい)入(い)りしわるなゆる。
手習(てぃなれ)え片分(かたわ)き手(てぃい)しみてぃ勝負(しゅうぶ)しみりわる上手(じょうじ)ないる。
⑧ 布織(ぬぬうい)しい慣(な)りとおる下手(しちゃでぃい)ぬ女(ゐなぐ)ん手(てぃい)まみじすたん。
空(ん)な手(でぃい)し(せ)え行(い)かんようい、手巾(てぃいさあじ)ぐれえ持(む)っち行(い)かに。

日本語

賄賂をする程の悪友とはグルになるな。
盗み癖のある者が、他人の家でも手探りする。
③ 彼は腕っぷしがあるから手綱(たづな、ちいさなつな)も切ってしまった。
悪戯癖が付いていたから、平手でビンタを食らわされた。
⑤ 私は手が塞がっているから、この仕事は手分けしてくれ。
が届く肩にある瘍(できもの)は手遅れにならない内に、手術しなければならない。
字の稽古二手に分けて勝負させてこそ上達する。
⑧ 機織仕事をやり慣れた身分の低い女も手順を間違えた。
手ぶらで行かないで、手拭いぐらいは持って行かないか。

【解説】「てぃふぁな業(わざ)(危険な業)」、「てぃべえゆん(暴れる)」等が「手」の慣用句なのかは判断できませんので紹介だけに止めておきます。なお「手(てぃい)たっ食(くぁ)あす(ふ)ん」で「火傷する」の意味になる地域(石川山城)があります。

例文①「下手」は「袖の下から出す手」に喩えた「賄賂」。「手引ち坊主」は「引導僧」から転じて「誘惑する悪友」。
例文②「手癖」は「手癖」から発展して「盗む癖」の意。「手探い」は「(暗がりなどで)手探りする事」。
例文③「手節」は日本語のそれとニュアンスが異なり主には「腕っ節」の意ですが「げんこつ」という意味もあります。「手綱」は綱引きの際の大綱に付随した「小綱」で、綱引きは「手綱」を引いて行ないます。
例文④「手ごう」は「手でする悪戯」で52講の「手んちゃま」、54講の「手弄たん」に同じ。「手ごう付ちょおん」で、「悪戯癖が付いている」の意。
例文⑤「手支え」は「手が塞がっている事」。
例文⑥「手置き」は「(特に)手を回して届く肩辺り」。「手入り」は「(畑・物品の)手入れ・管理」の他に「手術」の意。
例文⑦「手習え」は「手習い(事)」、また「習字」。「片分き手」は「人数を二手に分ける事」。
例文⑧ここでの「下手」は例文①と異なり「身分の低い下の者」の意。「手まみじ」は「手作業で手順等を間違える事」。
例文⑨「空な手」は「何も持たない手」、「手ぶら」、「手巾」は「手ぬぐい」、「ハンカチ」。

【応用問題】例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(手分き、手まみじ、手癖ぬあるっ人、手支えそおん、手入り)

① 旅んかい行ちゅるばあや、こおとぅねえやあんかい、心入り。
② 仕事え、一人し(せ)えさな、諸(むる)んかい手配いさんでえならん。
③ 今あ、忙さぬ、まどお無えらん
④ 家ぬ持ちなしん、良うさんでえ、白蟻なかい、さりいんどお。
手ばっぺえしいねえ、元被(むとぅかん)じゅんどお。
答え:
① 手癖ぬあるっ人。
② 手分き。
③ 手支えそおん。
④ 手入り。
⑤ 手まみじ。

日本語意訳
①旅に出る際はスリに気を付けよ。
②仕事は一人ではせず、皆で手分けしてやらなけらばならない。
③今は忙しくて暇がない。
④家の管理もきちんとしないと白蟻にやられるよ。
⑤手を間違うと、元が取れず損するぞ。

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