うちなあぐち

① 西洋(ウランダ)口習(ぐちなら)ゆるばあや、舌(しば)噛(か)ん切(ち)ら噛ん切らすん。
② 冬(ふゆ)お、上(うゎあ)舌(しば)ん下舌(しちゃしば)ん、皹(ふぃば)りてぃ、舌色(しばいる)ん青白(おおじる)うなゆん。
③ 彼(あり)え、舌喰(しちゃくぇ)え物(むに)言(い)いすくとぅ、諸(むる)なかい舌(しば)ねえらったん
④ アナウンサーや舌(しちゃ)早(べえ)く、叫(あ)びてぃん、舌(しちゃ)長(なが)さあねえん。
⑤ がんまりそおる子(くぁ)んかい母(あんまあ)や、下舌(しちゃしば)喰(く)うてぃ見(み)したん。
⑥ 大人(うふっちゅ)なかい呪(ぬら)らったる童(わらび)え、舌(しば)べるべるうし逃(ふぃん)ぎたん。
⑦ 今(なま)あ、舌(しば)切(ち)っちどぅ、舌(しちゃ)切(ち)り物言(むに)いそおる。
⑧ 先生(しんしい)ぬ話(はなしい)や、舌短(しちゃいんちゃ)さぬ、分(わ)かいぐりさん。

日本語

① 西洋語を習う場合は、舌を噛み切りそうである。
② 冬は上唇も下唇も罅割れ、唇の色も青くなる。
③ 彼は、かく舌が悪いので、皆に馬鹿にされた
④ アナウンサーは、早口で喋ってもかむことはない。
⑤ 悪戯している子に、母は下唇を噛んで見せた。
⑥ 大人に怒られた子供は、あっかんべえして逃げた。
⑦ 今は舌をけがしたから、舌足らずな話をしているのだ。
⑧ 先生の話は、舌足らずなので、理解し難い。

【解説】
 「舌」は通常は「しば」ですが、慣用的には「しちゃ」となります。例文を参照してください。「上舌(うわあしば)」、「下舌(しちゃしば)」及び例文②の場合は「唇」の意味になります。「口舌(くちしば)」(噂)は43講をご参照ください。

例文①「ウランダ」は西洋全般の代名詞ですが、戦後から復帰前までは「アミリカ」がその「役割」を担っていました。時代の移り変わりもあって、現在は必ずしもそれを使う必要はないかと思います。
例文②「上舌」は「上唇」。「下舌」は「下唇」。「舌色」は「唇の色」。
例文③「舌喰え物言い」は「舌が回らない言い方」、「舌を噛み切りそうな言い方」等の意味で、⑦の「舌切り物言い」や⑧の「舌短さん」と意味が重なる部分があります。「舌ねえゆん」は「舌を出す」から転じて「馬鹿にする」の意味。
例文④「舌長さん」は「舌が縺れるような喋り方をする」、「かく舌が悪い」等の意味です。「舌早さん」は「早口である」。
例文⑤「下舌喰うゆん」は「下唇を噛む」、「怒りの表情を見せる」、「威嚇する」などの意味になります。
例文⑥「舌べるべるう」は「べろを出す」の意味の擬態語ですが、「べろを出す」より、少し挑発的な意味合があります。
例文⑦「舌切ゆん」は「舌を怪我する」。「舌切り物言い」は「舌喰え物言い」などと同じ意味です。
例文⑧「舌短さん」は「言葉が短く舌足らず」、「説明不足」等の意味となります。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(人んかい舌ねえゆし、舌短されえ、舌早く、舌喰え物言い、舌長さる)

① あんし、口(くち)早(べえ)く、叫(あ)びいねえ、何(ぬう)んでぃが言(い)ちょおらあ分からん。
② 三(みい)才(ち)なやあん、やりわる、てえてえ物(むに)言(い)いんする。
言(い)い足(た)らんでえ、取(とぅ)い違(ちが)あらりゆんどお。
叫(あ)びららん叫びいするあたいやれえ、けえ、とぅるばゆし(せ)えまし。
⑤ ちゃっさ、わじらわん、人(ちゅ)お耄(ふ)りむんなすし(せ)えあらん。
答え:
① 舌早く。
② 舌長さる。
③ 舌短されえ。
④ 舌喰え物言い。
⑤ 人んかい舌ねえゆし(せ)。

日本語意訳
①そんなに、早口で喋ると、何を言ってるのか分からない。
②三つ子でもあるまいし、たどたどしい喋り方をして。
③舌足らずに言うと誤解されるよ。
④ちゃんと喋れないなら、黙ってしまうのが良い。
⑤いくら、怒っても、人を馬鹿にするものではない。