比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2016年06月

うちなあぐち

① じじ内於(うちをぅ)とおてぃん、沖縄語(うちなあぐち)え、色数(いるかじ)あん。
② 同(い、ゆ)ぬ言葉(くとぅば)やてぃん、発音(はちうん)やシマにゆてぃ、色々(いるいる)あん。
③ 一(てぃい)ちぬ語(くとぅば)んかいん、色(いる)んな発音(はちうん)ぬあくとぅ、沖縄語(うちなあぐち)語発音(ぐうん)や実(じゅん)に音(うとぅ)ぬグラデーションぬ如(ぐとぅ)どぅある。
④ 玉棚(たまだな)ぬ焼物(やちむん)、色清(いるじゅ)らさあてぃどぅ、買(こ)おてぃ見(ん)ちゃる。
⑤ 悪(や)な事(ぐとぅ)(注)しいねえ、必(かんな)じ、色(いる)に表(あら)わりゆん
⑥ 銭事(じんぐとぅ)ないねえ色(いる)わきてぃ、色(いる)み変(が)あいするっ人(ちゅ)ん居(をぅ)ん。
⑦ 怪我(きが)さあに、色(いる)ぬ飛(とぅ)どおたしが、今(なま)あ色(いる)ぬ出(ん)じとおん
色欲(いるゆく)ぬあるっ人(ちゅ)お、色好(いるし)ちやい、色(いら)あんでぃ言(い)らりいん。

日本語

① 沖縄本島内であっても、沖縄語は多様にある。
② 同じ語でも、発音は、地域によって、様々である。
③ 一語であっても、複数の発音があるので、沖縄語の語音は、まるで、音のグラデーションのようである。
④ ガラス棚の焼物、美しいので、買ってみたのである。
⑤ 悪事(あくじ)を働けば、必ず、顔色に出る
⑥ お金の事となると、特に、態度が急変する人もいる。
⑦ 負傷して、顔面蒼白になっていたが、今は血色がよい
色欲のある人は好色であり、すけべえと言われる。

【解説】
「色」には「色」の他、「顔色」、「態度」等の意味があります。「色黒う(色黒の人)」、「色白う(色白の人)」等は略します。

例文①「色数」は「数的に種々多々ある事」、「多様多種」。
例文②「色々」は「色々、様々」。③の「色んな」もほぼ同じ意味です。
例文③「色んな」は「色々な」、「様々な」という意味ですが、「妙な」、「変な」、「異様な」という意味もあります。
例文④「色清さん」は風景などより、具体的な物体について「美しい」の意味です。
例文⑤「悪な事」(注)について「やなぐとぅ」は「悪事」、「やなくとぅ」は「やなぐとぅ」より軽い「悪い事」。「色に表わりゆん」は「顔(色)に出る」、「表情に出る」の意味。
例文⑥「色分きてぃ」は。「色み変わい」は「顔色の急変」ですが、「態度が急変(変節)」する事にもいいます。
例文⑦「色ぬ飛ぶん」は「(驚く等して顔面が)真っ青になる」で「色ぬ無えらんなとおん」とも言います。「色ぬ出じゆん」は「色が出る」、「血色が良くなる」。
例文⑧「色好ち」は「好色」。「色あ」は「好色な人」。
 
【応用問題】
例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。
(色み変あいすたん、色々、色分きてぃ、色数、色ぬ飛どおたん、色んな)

かわてぃ、自(どぅう)一人(ちゅい)勝手(がってぃい)やるっ人(ちゅ)お、人(ちゅ)ぬ事(くと)おさん。
② 外国(ぐぁいくく)んかいや異風(いふう)な物(むん)ぬ、幾(いく)ちん三(みい)ちん(注)あん。
③ 嫌々(んぱんぱ)そおたるむぬ、銭(じん)見(み)したれえ、あった変(が)わいすたん。
④ 妹(うっとぅ)お、どぅ惑(まん)んぐぃてぃ、色(いる)ん無(ね)えらんなとおたん
⑤ 物(むぬ)ぬ考(かんげ)え様(よう)や、人(ちゅ)にゆてぃ、様々(さまざま)やさ。
答え:
① 色分きてぃ。
② 色んな、色数。
③ 色み変あいすたん。
④ 色ぬ飛とおたん。
⑤ 色々。

日本語意訳
①特に自分勝手な人は他人の面倒はみない。
②外国には妙なものが数多くある。
③嫌がっていたのに、お金を見せたら、豹変した。
④妹は狼狽して、顔色を失った。
⑤物の考え方は人によって様々だよ。
注:「幾ん三ちん」は「沢山」の意味の慣用句。

うちなあぐち

① 長間(ながでえ)、走合(はあええ)しいねえ、息(いいち)ふぇえふぇえし、息吹(いいちふ)ちゅさ。
② 狭(い)ば所(どぅくる)お、息(いち)切(じ)らさぬ、息無(いいちま)でぃいしいぎさあやん。
③ 息(いいち)ん欠伸(あくび)んしみらん値(あたい)ぬ仕口(しくち)やんでぃ聞(ち)ち、大息(うふいいち)さん。
息(いいち)ぐんぬん、息替(いいちげ)えいん、ならんでえ、泳(ゐい)じゆさん。
息穴(いいちみい)ん穿(ふ)がしわる、息(いいち)んしゆする。
息(いいち)とぅっ切(ち)ちょおたる童(わらび)ぬ息返(いいちけえ)えち、片心許(からくくるゆる)ちゃん。
⑦ 相撲(しま)あ、一息(ちゅいいち)ん、憩(ゆく)らんようい、息(いち)ゃん張(ぱ)たてぃ取(とぅ)り。
⑧ あんまさるばあや、息(いち)切(じ)りてぃ息(いちゃ)みいんならん

日本語

① 長距離を走れば、喘ぎ喘ぎ激しく息をするよ。
② 狭い所は、息苦しくて、窒息しそうだ。
息つく暇も与えないほどの仕事だと聞いて、溜息をついた
息止め息継ぎもできないと、泳げない。
空気孔を貫通させてこそ、息をすることもできる。
息を詰まらせていた子供が息を吹き返し、ひとまず安心した。
⑦ 相撲は、一息も休まず、息を止め腹に力を入れて取れ。
⑧ 気分が悪い時は、息切れがして、息むこともできない。
 
【解説】
「息(いいち)」は糸満などでは「いき」。

例文①「息ふぇえふぇえ、息へえへえ」は「息をはあはああさせる事、喘ぐ」の意。「息吹ちゅん」は「激しく息をする」。
例文②「息切らさん」は「息苦しい」。動詞は⑧の「息切りゆん」ですが、この場合は「息切れする」の意味合いとなります。「息無でぃい」は「窒息」。
例文③「息ん欠伸んしみらん」は「息つく間もない」。「息んしみらん」とも言います。「大息」は「溜息」。
例文④「息ぐん」は「暫く息を止めておく事」。「息ぐんぬん」は「息ぐぬん」と発音しますので、「息ぐぬん」の表記が多いです。「息替えい」は「息継ぎ」また「息抜き(ちょっとした休憩)」の意味もあります。
例文⑤「息穴」は「通気口」。「息しゆすん」は「息(をすること)ができる」。
例文⑥「息とぅっ切ゆん」は「息を詰まらせる、噎せる」の意。「息ふぃっかからすん、喉たっ切ゆん」とも言います。
例文⑦「息ゃん張ゆん」は「息を止め、腹に力を入れてことをする、力む」の意味で「息むん」とも言います。
例文⑧「息切りゆん」は「息切れがする」。形容詞は②の「息切らさん」。「息むん」は「息む」で「息ゃん張ゆん」も同じ。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に次文の太字部分に意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。
(息欠伸んしみらん、息ゃん張てぃん、息無でぃいすん、息替えい、息とぅ切ち)

① 上(ゐい)ぬっ人(ちゅ)とぅ物食(むぬか)むるばすお、息(いいち)ふぃっかからち、まあくんねえん。
② 昔(んかし)え普請(ふしん)するばあや息(いいち)んしみらんようい、ちゃあばんないすたん。
③ いちゃっさ、息(いちゃ)でぃん、一人(ちゅい)し(せ)え、木(きい)ぬ根(にい)ぐいや抜(ぬ)がらんたん。
④ でぃちゃ、くまんじ、ちゅてえや憩(ゆく)らな
⑤ 息穴(いいちみい)ぬ無(ね)えらあれえ、息(いいち)んならんなゆん
答え:
① 息とぅ切ち。
② 息ん欠伸んしみらん、。
③ 息ゃん張てぃん。
④ 息替えいさな。。
⑤ 息無でぃいすん。

日本語意訳:
①上の者と食事をするときは、息も詰まり美味しくもない。
②嘗ては工事をする場合は、息つく暇もなく、どんどん、やり続けた。
③どんなに、息を止め力んでも、一人では、木の根っ子は抜けなかった。
④さあ、ここで休もうではないか。
⑤空気孔がなければ、窒息する。

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