比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2017年03月

うちなあぐち

① 電気(でぃんち)ん無(ね)えらんたる代(ゆう)ぬ家仕(やあし)事(ぐとぅ)お、大事(でえじ)やたる筈(はじ)。
② あまぬやっちいや家毎(やあかじ)拾(ふぃる)やあやくとぅ、頼(たる)がきららん。
③ 家竜(やあどぅう、やあるう)ぬ家付(やあぢ)ちょおれえ、よおしょうけえ。
家分(やあわ)かやあやてぃん、屋孫(やあんまが)ぬ代(でえ)からあ元祖(ぐぁんす)持(む)ちなゆん。
⑤ 今日(ちゅう)や一家(ちゅやあ)組(ぐな)揃(すり、する)てぃ、家屋敷(やあやしち)ぬ掃(ほ)ちかちさやあ。
⑥ 大人(うふっちゅ)ないねえ、誰(たあ)やてぃん、家持(やあむ)ちゃあなゆさ。
⑦ 正月(しょうぐぁち)ないねえ、家(やあ)毎(かじ)家(や)戸口(どぅぐち)んかい、松飾(まあちかざ)ゆん。
⑧ 此(く)まあ本家(むうとぅやあ)やしが、今(なま)あ、空家(んなやあ)どぅなとおる。

日本語

① 電気のなかった時代の家事は、大変だっただろう。
② あそこの兄さんは、まぐれなので、頼りにならんない。
③ ヤモリが住み着いているのであれば、放っておけ。
分家でも内孫の代からは仏壇持ちになる。
⑤ 今日は、一家揃って、家屋敷の掃き掃除をしようねえ。
⑥ 大人になれば、誰もちゃんと、所帯を持てる者になるさ。
⑦ 正月になると、家ごとに戸口に松を飾る。
⑧ ここは本家だが、今は空き家になっている。

【解説】
例文①「家仕事」は「家事」です。
例文②「家毎拾やあ」は元々は「奉公先を転々する者」でしたが、転じて「気まぐ者」、「移り気な人」に意味。
例文③「家付ちゅん」は「家に住み付く」、「居付く」の意味です。「家竜」は「家しじまあ」とも言います。
例文④「家分かやあ」は「分家」。78講の「家立ちゃあ」の実質的には殆ど同じですが、「立つ」と「分かつ」の差からくるニュアンスの違いがあります。「屋孫」は「内孫」。
例文⑤「一家組」は「一家(ちゅや)っくぁ」とも言います。
例文⑥「家持ちゃあ」は「ちゃんと所帯が持てる者」の意味で「家持(やあむ)ち」とも言います。
例文⑦「家毎」は「戸数毎に」、「家ごとに」の、「家戸口」は「戸口」の意味です。
例文⑧「本家」は「(基本的には嫡子の家系で)本家(ほんけ)」の意味です。「空家」は「空き家」の意味です。参:68講。
  
【応用問題】
 例文・解説文を参考に箇条文の( )に入る語句・文を次行の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(家付ちょおん、家持ち、家分かやあ、家仕事、一家っくぁ)

① 今(なま)あ( )え、男(ゐきが)、女(ゐなぐ)んちん、無(ね)えらな、男ん、さびいん。
② ふぃるまむん、野間猫(やままやあ)どぅやしが、( )。
③ ( )どぅやてぃから、他所国(ゆすぐに)んかい移(うち)てぃん、済(し)みいどぅする。
④ あぬ気任(ちまか)しいぬん、( )けえなてぃ、片心許(かたくくるゆる)ちょおいびいさ。
⑤ ( )揃(すり)てぃぬ旅(たび)やくとぅ、諸(むる、ぶる)、いしょうさいぎさん。
答え:
① 家仕事。
② 家付ちょおん。
③ 家分かやあ。
④ 家持ち。
⑤ 一家っくぁ。

日本語意訳
①今は家事は男女の別なく、男でもやります。
②めずらしいこと、野良猫なのに、居付いている。
③分家だったら、移民しても良いのである。
④あの我がまま者でも、ちゃんとした所帯持ちになって、一先ず安心していますよ。
⑤家族揃っての旅行なので、皆、楽しそうである。

うちなあぐち

① 火走(ほおは)いや家々財(やあかざい)家持(やあむ)ち道具(どうぐ)ん、あるっさ持(む)っち走(は)ゆん。
② あぬ家門(やあじょう、やあぞう)から家品(やあじな)ぬ分(わ)かゆん。
家造(やあづくい)いや、昔(んかし)え結(いい)回(まあ)るう頼(たる)がき、今(なま)あ家大工(やあぜえく)頼(たる)がき。
④ 畑(はる)さあや家(やあ)かい荷(にい)、持(む)っちどぅ戻(むどぅ)ゆたる。
⑤ 親(うや)あ家(やあ)てぃいさあ、子(くぁ)あ、家(やあ)しじい
⑥ 昔(んかし)ぬ家風呂(やあぶる)やか家(やあ)ぬ内(うち)んかいある風呂(ふる)ぬどぅましやる。
家(やあ)ぬ上(ゐい)んかい上(ぬぶ)いねえ、自(どぅう)なあ達(たあ)牛屋(うしやあ)ぬ見(み)いゆん。
⑧ 村外(むらはじ)しんかいあぬ屋取(やあどぅい)い家数(やあかじ)ぬまんどおん。

日本語

① 火事は家と財産所帯道具も、一切、持ち去る。
② あの屋根付き門から、家の風格が分かる。
③ 昔は共同作業頼みだった家造りも今は家大工任せ。
④ 農家は家に、畑道具や家畜用の草等を持ち帰ったものだ。
⑤ 親は人の家に入り浸る人、子は他家に馴染めない人
⑥ 昔の(外にあった)屋根付き便所より屋内便所が良い
屋根に上ると、自分達の牛舎が見える。
⑧ 村外れにある都落ちした士族の集落戸数が多い。

【解説】
例文①「家々財」は「家と家財一切」。「家持ち道具」は「所帯道具」の意味です。
例文③「家門」は「屋根のある立派な門」。「家品」は「家の風格」、「家の品」の意味です。
例文④「家造い」は「家造り」。参:79講の「家普請」。「家大工」は主に「家屋専門の大工」の意味です。
例文⑤「家かい荷」は「農家が家に帰る際に持ち帰る農具は勿論、周辺で刈り取った家畜に与える草などを含む荷」。「かい」は方向などを表わす助詞で「んかい」とも言います。
例文⑥「家てぃい」は「他人の家に入り浸ること」。「家しじいい」は「他人の家に馴染めない人」の意味です。
例文⑦「家ぬ上」は「屋根」。「牛屋」は「牛舎」。なお、「山羊屋(ふぃいざあやあ)」は「山羊小屋」です。
例文⑧「屋取い」は琉球王府(中山府)の「合理化」や廃藩置県などで都落ちした士族の集落のことです。「家数」は「戸数」の意味です。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に箇条文の( )に入る語句・文を次行の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(家造い、家品、山羊小屋、家しじい、家かい荷)

① 知(し)らん人(ちゅ)うする童(わらび)ぬどぅ( )やする。
② 畑(はたき)ぬ手(てぃ)がねえさあや、( )や、まじゅん、持(む)っち取(とぅ)らせえ。
③ ( )ぬある家(やあ)や屋敷(やしち)ぬ掃(ほお)ちかちん、出来(でぃき)らちょおん。
④ ( )ん、今(なま)あメーカーぬ仕口(しくち)どぅなとおる。
⑤ 豚(うゎあ)ぬ風呂(ふうる)んかい、たっくぁあとおる( )んまんどおたん。
答え:
① 家しじい。
② 家かい荷。
③ 家品。
④ 家造い。
⑤ 山羊小屋。

日本語訳
①人見知りする子が他人の家に馴染めないのである。
②畑の手伝い人は持ち帰る荷や道具は一緒に、持って呉れ。
③家の品格のある家は屋敷の清掃もよくしている。
④家造りも今はメーカーの仕事になっている。
⑤豚小屋にくっついている山羊小屋も多かった。

↑このページのトップヘ