比嘉清の文でおぼえるうちなあぐち

聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ 御万人ぬうちなあぐち

はいさい、ぐすうよう。いめんせえびり。 うちなあぐちの散文を丁寧文で実践している比嘉清です。 うちなあぐちへは散文から入るのも一つの手です。沖縄の団塊世代は日本語を学ぶのに100%近くが小学校の教科書から入りました。大きくなって発音の違いに苦労しましたが、長い目でみれば、今は文章から入ってよかったと思っています。

2017年04月

うちなあぐち

纏(まる)ち銭(じん)ぬあれえ、銭箱(じんばく)添(し)いじい銭蔵(じんくら)んかい、かじみしが。
銭高(じんだか)計算(さんみん)し見(ん)ちゃれえ、銭(じん)ぬふぎとおる事(くとぅ)ぬ分(わ)かたん。
銭五十(じんぐんじゅう)ん、銭持(じんむ)ちん、同(い、ゆ)ぬ如(ぐとぅ)、銭抱(じんだ)ちゅる癖(くし)ぬあん。
④ 昔(んかし)え小(ぐ)ま銭(じん)や銭縄(じんなあ)んかい通(とぅう)ち、銭袋(じんぶくる)お使(ちか)あらんたん。
銭(じん)ぶらありそおる時(ばあ)や募銭(ぬちじん)し、しがりゆる事(くとぅ)んあん。
端物銭(はむんじん)やてぃん、貯(た)みいねえ、大銭(うふじ)ぬんかいなゆん。
⑦ 前(めえ)や銭腰(じんくし)掛(か)きとおたしが、今(なま)あ引(ふぃ)っちゃてぃるうそおん。
⑧ 買(こ)い物(むん)する時(ばあ)や、返(けえ)し銭(じ)ぬんさんみんしから、払(ばら)り。

日本語

纏まった大金があれば、金庫ごと金蔵に保管するのに。
金額を計算してみたら、欠損している事が分かった。
守銭奴金持ちも、同じように金を隠し持つ癖がある。
④ 昔は小銭銭縄に通し、財布は使わなかった。
お金が不足している時は醵金して、工面する事もある。
はした金でも、貯めれば、大金になる。
⑦ 以前は金を鼻にかけていたが、今は借金三昧している。
⑧ 買い物をする場合は、つり銭を計算してから払え。

【説明】
 「紙幣」は「紙銭(かびじん)」で、その卑語「紙銭(かみじ)なあ」を多く使います。「硬貨」は「鉄銭(かにじん)」、卑語は「鉄銭(かにじ)なあ」。

例文①「纏(丸)ち銭」は「纏まった金」、「大金」の意味で、「纏(丸)し銭」とも言います。「銭箱」は「金庫」、「銭箱」の意味の他、転じて「稼ぎの良い商品等(ドル箱)」、「稼ぎの良い女郎(尾類)」にも言います。「銭蔵」は「金蔵(倉)」。
例文②「銭高」は「金額」。「銭ぬふぎゆん」は「帳簿に穴が空く(つまり欠損する)」の意味。
例文③「銭五十」は「(たかが)五十銭も惜しむ」という意味合いから「けちんぼ」、「守銭奴」の意味。「銭持ち」は「金持ち」の意味。その卑語である「銭持ちゃあ」を多く使います。「銭抱ちゅん」は「お金を隠し持つ」の意味に用います。
例文④「小ま銭(又は「小(ぐ)な-」)」は「小銭(こぜに)」。「銭縄」は「穴の空いた小銭を通す紐の類」。「銭袋」は「巾着」や「財布」の事で「銭入りい」、「銭入りやあ」とも言います。
例文⑤「銭ぶらあり」は「お金不足」。「募銭」は「お金を募ること」で「募銭すん」はその動詞。
例文⑥「端物銭」は「はした金」。「大銭」は「高額紙幣」又は「大金」の意味。地方では「まぎ銭」とも言います。
例文⑦「銭腰掛きゆん」は「お金を鼻にかける」。「引っちゃてぃるう」は「引き上げる」、「一時的に(金銭などを)借りる」の意味の動詞「引っちゃてぃゆん」の名詞形で「しょっちゅう借金している者」の意味に転じています。
例文⑧「返し銭」は「つり銭」、「おつり」、又は「戻し金」の意味で単に「返(けえ)し」という場合もあります。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に箇条文の太字部分に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(銭ぶらありし、纏ち銭ぬありわる、銭高、銭腰掛きてぃ、募銭し)

銭募(じんぬ)ちゃあしいし迄(までぃ)、議員(じい)ぬんかい立(た)っちゃん。
② 近頃(ちかぐる)お銭持(じんむ)ちやんでぃち、うせえゆる人(ちゅ)お居(をぅ)らん。
銭(じん)ぬはがなさぬ、思(うみ)いちっとぅ、買(こ)おい物(むん)ぬんならん。
銭(じ)ぬん大概(てえげえ)、多(うほお)くありわる、ゆちふぁぬあんでぃ言(ゆ)る。
⑤ 御殿(うどぅん)、売(う)ゆる値(でえ)(代)や、大親(うふや)ぬどぅ分(わ)かやびいる。
答え:
① 募銭し。
② 銭腰掛きゆる。
③ 銭ぶらありし。
④ 纏ち銭ぬありわる。
⑤ 銭高。

日本語意訳
①醵金してまで議員に立候補した。
②最近は金持ちだからと威張る人はいない。
③お金不足で、思い切って、買い物もできない。
④お金もある程度多く持ってこそゆとりがあるというのである。
⑤士族屋敷を売却する金額は執事が知っています。

うちなあぐち

① 今(なま)あ、銭(じん)ぬ世(ゆう)。銭着(じんじゃく)銭じいら入(い)ゆる人(ちゅ)んまんどおん。
銭(じん)ぬ畏(うす)りん無(ね)えん人(ちゅ)お、後(あと)お銭詰(じんぢ)まいすん。
銭(じん)や渡(わた)い物(むん)やしが、滑(なん)どぅる物(む)ぬんやん。
銭(じ)のお銭守(じんかみ)んかいどぅ銭や授(さざ)きゆる銭(じん)喰(くぇ)え虫(むし)んかい構(かむ)らさん。
銭(じん)ぬ敬(うやめ)え、知(し)らん人(ちゅ)のお、銭(じ)のお貯(た)ぶゆさん。
銭見(じんみ)い易(や)っさくとぅんでぃち、銭(じん)雨(あみ)降(ふ)らちぇえならん。
銭費(じんだ)ありする人(ちゅ)んかい銭(じん)費(てえ)さあんでぃ言(ゆ)んばあやさ。
銭(じん)貸(か)らさあん銭(じん)借(か)やあん実(じち)え、同(い)ぬ如(ぐとぅ)、銭飢(じんう)がりそおん。

日本語

① 今は金の世。金銭に執着する者金で苦労する者も多い。
金を大切に思わない人は、いずれ金詰まりする。
金は天下の回り物だが、手元に残り難いものでもある。
④ 金は金線管理者管理させるべきで、浪費者にはさせない。
お金を大事にできない人は貯金することはできない。
金回りがよいからといって、大散財してはならない。
⑦ お金を無駄遣いする人に浪費者というわけよ。
高利貸し借金人も本当は同じく金に飢えている

【解説】
 「銭」は「銭金(じんかに)」とも言います。小児語は「銭(じ)ぬう」。なお、「銀」も琉球漢音では大方は「じん」です。(北部、糸満などの南部を除く)

例文①「銭着」は「お金に執着する者」。「銭じいら」は「金で苦労すること」の意味です。
例文②「銭ぬ畏りん無えん」は「お金を大切に思わない」。類句に例文⑤の「銭ぬ敬え知らん」。「銭詰まい」は「金詰り」。
例文③「銭ぬ渡ゆん」は「金が世の中を回る」。「銭や渡い物」で「金が天下の回りもの」。「銭や滑どるむん」は「金は滑って手にしても直ぐに滑り去ってしまう」事に喩えた慣用句。
例文④「銭守(じんかみ、じんかみい)」は「金銭管理者」で「銭(じん)ぬ守(かみ、かみい)」とも言います。「銭授きゆん」は「金銭を管理させる」で「銭授かゆん」は「金銭を管理する」となります。「銭喰え虫」は「金銭の浪費癖のある人」で単に「銭喰え」とも言います。類句は例文⑦の「銭費えさあ」。
例文⑤「銭ぬ敬え知らん」は「金を大事・大切にしない」というニュアンス。「銭貯ぶゆん」は「貯金する」。
例文⑥「銭見い易っさん」は「金回りが良い」という意味の比喩句。「銭雨降らんすん」は「金を湯水のように使うこと、「大散財」の意味の比喩句です。
例文⑦「銭費あり」は「お金の無駄遣い」。「銭費さあ」は「お金を浪費する人」。
例文⑧「銭貸らさあ」は「金貸し」の意味もあるが、慣例的に「高利貸」の意味。「銭借やあ」は「金を借りる人」。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に箇条文の太字部分に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(銭雨降らすん、銭見い易っさん、銭着、銭じいら、銭ぬ敬え知らんでえ、銭ぬ渡りわる、銭ぬ詰まゆん)

銭(じん)粗相(すそん)しいねえ、けえ、くぬうち、倒(とお)りゆんどお。
② 商(あちねえ)さあや、銭(じん)の事(くとぅ)し、しいら入(い)ゆる事(くとぅ)ぬまんどおん。
③ あんし、銭(じん)費(てえ)しいねえ、なあ、銭ぬ無(ね)えらんなゆんどお。
御(う)万人(まんちゅ)ぬ銭使(じんちか)りわる、商(あちねえ)ん世(ゆう)ん繁(はん)盛(じょう)んする。
銭(じん)ぬ事(くとぅ)びけえ、考(かんげ)えいねえ、肝(ちむ)ぬ所(とぅくる)ん無(ね)えんなゆさ。
答え:
① 銭ぬ敬え知らんでえ。
② 銭じいら。
③ 銭雨降らしいねえ、銭ぬ詰まゆん。
④ 銭ぬ渡りわる。
⑤ 銭着しいねえ。

日本語訳
①お金を粗末にして大切にしないと、そのうち、倒産してしまうよ。
②商売人は金の事で苦労する事が多い。
③これほど出費したら、金が無くなるよ。
④皆がお金を使ってこそ商売も世の中も繁盛するのである。
⑤お金の事ばかり考えると、心の置き所がなくなるよ。

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