うちなあぐち

あった果報(くぁふう)ぬ付(ち)ち、汝(なあ)や、あんし、果報者(くぁふうむん)やる。
② 籤引(くじふぃ)ちゅるばあや「当(あ)たい果報(がふう)」でぃち、うんぬきれえ。
③ あんしいねえ、当(あ)てぃ果報(がふう)、拝(をぅが)むるばあんあさ。
④ 慌(あわ)てぃらんようい、後勝(あとぅまさい)い果報(がふう)んでぃ思(うむ)てぃ待(ま)てぃ。
⑤ 去年(くず)お、餓死年(がしどぅし)やたしが、今度(くんど)お世(ゆ)果報年(がふどぅし)やいぎさん。
⑥ 思(うみ)ん子(ぐぁ)ん良(い)い仕口(しくち)拝(をぅが)でぃ、しでぃ果報(がほう)なとおいびいん。
⑦ 彼(あり)が子(くぁ)あ、勝(まさ)い果報(がふう)なやあに、成功(せいこう)そおん。
⑧ あい、来(ち)、取(とぅ)らち、果報(かふう)しどお、なあ。

日本語

思いも寄らない幸運を掴み、貴方は何て幸せ者なんだ。
② 籤を引く場合は「当たりますように」と唱えなさい。
③ そしたら、当選の幸運に恵まれる場合もあるよ。
④ 慌てずに、後の方が有利だと信じて待て。
⑤ 去年は飢饉だったが、今年は豊年のようだ。
⑥ わが子も良い仕事に就く事ができ、有り難い事です。
⑦ 彼の子は優れた運気に恵まれ一人前に成長している。
⑧ あら、来てくれて、ほんと、ありがとうね。

【解説】
 「果報(くぁふう)」は「かふう」とも言い、「幸運」、「果報」の意味です。他語とも組み合わせは、概ね慣用的に定着しています。百果報(多くの幸せ)、命果報(助かった幸運)、百果報(御多幸)は「百」および「命」の講をご参照ください。

例文①「あった果報」は「僥倖」、「突然降って湧いた幸福」、「思いがけない幸福」。文語は「あた果報」。その地方語である「あたい果報」(又は「あたいが報」)には例文②の意味もあります。「果報者」は「幸せ者」。「あった」は「突然」。
例文②「あたいがふう」は一部地方では「当選・合格しますように」と唱える文句ですが、例文①の意味もあります。
例文③「当てぃ果報」は「当選・合格等の幸運」の意味です。
例文④「後勝い果報」は「後の方が勝る事」、「後の方が有利である事」等の意味です。
例文⑤「世果報年」は「ゆがふうどぅし」とも言い「豊年」の意味。「世果報」、「弥勒世果報」も同じ。古語は「あま世(ゆう)」。
例文⑥「しでぃ果報」は「しどぅがふう」とも言い、平民の女性語で「ありがたいものを頂くこと」の意味ですが、「感謝」、「謝礼」の意味もあります。首里では同じく女性語で「妊娠」(授かり物)の意味で使います。
例文⑦「勝い果報」は「優れた運気に恵まれている事」の意味です。
例文⑧「果報し」は目下に対して言う「ありがとう」の意味かつ軽い「感謝の意」を表わします。「どお」、「や」(いずれも日本語の「ね」)等の感嘆詞を付けますが、言い切りの形も使います。「田舎言葉」という説もあります。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に箇条文の太字部分に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(果報者、当てぃ果報ぬある、後勝い果報、しでぃ果報でえびる、世果報年やくとぅ)。

① 今(なま)ぬまあどお美味(まあ)さむん、贈(うく)てぃ呉(くぃ)みそおち、三拝(にふぇえ)でえびる
② 今度(くんど)お、ふくりとおくとぅ、何(ぬう)ぬ心配(しわ)ん無(ね)えやびらん。
③ 良(い)い妻(とぅじ)とぅめえてぃ、汝(やあ)や、んずみてぃ、報人(ふうにん)やさ。
④ 初物(はちむん)やかん、後(あとぅ)ぬ物(む)ぬんかいどぅ、ましやし(せ)ぬある事(くとぅ)ぬあん。
⑤ かわてぃ、籤(くじ)柔(やふぁ)らさる人(ちゅ)ぬ居(をぅ)る訳(わけ)えあらん。
答え:
① しでぃ果報でえびる。
② 世果報年やくとぅ。
③ 果報者。
④ 後勝い果報。
⑤ 当てぃ果報ぬある。

日本語意訳
①今回は美味しい物を贈って頂きありがとうございます。
②今年は豊作なので何の心配もいりません。
③良い妻を娶り、君はとても幸せ者だよ。
④初物より後の方に良いものがある事がある。
⑤特に、籤が当たりやすい人がいるわけではない。