うちなあぐち

① なあ、ああたけえなとおい、でぃか、一(ちゅ)てえや憩(ゆく)らな。
② 婆前(はあめえ)ぬああちらひゃあちら、物(ゆ)ゆみ始(はじ)みいねえ、止(や)まん。
③ 汝(いゃあ)や肝要(かんぬう)な事(くとぅ)ないねえ、あぬうくぬうどぅすんばあ。
④ シマんかい戻(むどぅ)たれえ、あながちさぬ強(つう)さぬ涙(なだ)落(う)ちゃん。
⑤ 彼(あり)え、ああらんかあやくとぅ、ふぃれえ易(やっ)さん。
⑥ あんし、'''飽(あ)ち果(は)いしいしいねえ、しい成(な)しゆさんどう。
⑦ ちゃっさが餓(か)ちりとおらあ、あんしあばらあ食(か)みいし
あらん縁(いん)結(むし)ぶる事(くと)お、いいくる不為(ふだみ)な事(くとぅ)やん。

日本語

① もう、くたくたも疲れているし、さあ、一時休もうかな。
② お婆さんがぺちゃくちゃ喋り始めると止まらない。
③ 君は肝心な事になれば、しどろもどろになるのか。
④ 故郷に帰ったら、とても懐かしいので涙を流した。
⑤ 彼は飾り気のない人なので、付き合いやすい。
⑥ そんなに、嫌々ながらやったら、やり遂げられないよ。
⑦ どれほど飢えているのだろうか、そんなに大食いして
縁の無い縁を結ぶ事は大抵、為にならない事である。

【解説】
 今回より、特定の語句に関しないその他の慣用句をご紹介いたします。101講から200講の慣用句で漏れた語句が他の語との組み合わせされている場合もあります。

例文①「ああた」は足が痛みや疲れ等でのびたりぐにゃぐにゃになっている状態のこと。単独では用いず「ああたなゆん」(くたくたに疲れる)、「ああた走い」(よちよち歩き、股を広げて滑稽に歩くこと)等の句で用います。
例文②「ああちらひゃあちら物ゆむん」(首里語は「~物ゆぬん」)は「ぺちゃくちゃお喋りをする」。
例文③「あぬうくぬう」は「しどろもどろなること」の意味で、日本語では「あのうそのう」。
例文④「あながちさん」は「懐かしい」。「あながちさぬ強さん」で「とても懐かしい」の意味となります。
例文⑤「ああらんかあ」は「飾り気のない人」、「自然体で遠慮しない人」の意味です。語句というより、単語ですが、幾つかの語から成っていると考えられることから特に取り上げました。
例文⑥「呆ち果いしい」は「いやいやながらすること」の意味です。
例文⑦「あばらあ食みいすん」は「大食いする」の意味です。「あばらあ」は「大食い」の意味です。
例文⑧「あらん縁結ぶん」は「結ぶべきでない縁を結ぶ」の意味です。「あらん」は「でない」、「違う」という意味で且つ存在動詞「やん」の否定形でもあります。

【応用問題】
 例文・解説文を参考に次文の太字部分の意味に近い語句を左の( )内から選びなさい。答えは下欄です。
(飽ち果てぃはいしい、ああたなけえなとおい、あばらあ、ああちらひゃあちら物読まがなあどぅ、あぬうくぬう)

①父(すう)や一(ちゅ)けん倒(とお)りたれえ、叫(あ)び様(よう)んあま言(い)いくま言いどぅする。
②口(くち)ぱあくうあんまあ達(たあ)や井戸(かあ)油断(ゆだん)さがちいどぅ衣洗(ちんあれ)えんする。
③草臥(くた)んてぃ、足(ふぃさ)ん引(ふぃ)からんなとおい、でぃか、憩(ゆく)らなやあ。
④仕口(しくち)え、にりいしいしいねえ、却(けえ)てえ、をぅたい早(べえ)さんどう。
やとぅ餓鬼(がち)んかい腹中(わたなか)どぅ食(か)むんどうんでぃ言(ゆ)し(せ)え、どぅくやん。
答え:
①あぬうくぬう。
②ああちらひゃあちら物ゆまがなあしどぅ。
③ああたけえなとおい。
④飽き果てぃしい。
⑤あばらあ。

日本語意訳
①父は一度(脳梗塞で)倒れた後は喋り方もしどろもどろになった。
②お喋りな奥さん方は井戸端会議をしながら、洗濯をするのである。
③疲れて足もうごけなくなったし、さあ休憩しようかな。
④仕事は、嫌々ながらすれば、却って疲れ易いよ。
⑤大変な食いしん坊に腹半分だけ食べよというのはあんまりだ。