うちなあぐち

① 子(くゎ)ん達(ちゃあ)や、前(めえ)なちょおかんでえ、何(ぬう)がすら分(わ)からん。
② 地(じい)ぬ境(さあけえ)ぬ事(くとぅ)なかい、隣(とぅない)ぬ人(ちゅ)なかい家(やあ)しいかったん。
③ 孫(んまが)あ、物(むん)に凭(むた)っとおねえし、とぅるばとおん。
④ うぬ芝居(しばい)やれえ、見(ん)ちんちゃる如(ぐとぅ)どぅある
ねえぬ揺(ゆ)いねえ、瀬(し)上がり波(なみ)ぬ寄(ゆ)しゆる事(くとぅ)んあん。
⑥ 今(なま)あ医者技(いしゃわざ)ぬ正(しょう)じてぃ若(わか)じいら入(い)ゆる事(くと)おいきらさん。
⑦ 昔(んかし)え片膝(かたちんし)取(とぅ)てぃどぅ座(い)ゆたしが、今(なま)あ風儀(ふうじ)ん無(ね)えん。
⑧ うぬ机(しゅく)お幅取(はばとぅ)てぃ、くぬ座(ざあ)んかいや置(う)からん。

日本語

① 子供達は見張っておかないと、何をするか分らない。
② 土地の境界の事で揉めて隣人に家に押しかけられた。
③ 孫は魔物に取り憑れたように、ぽかんとしている。
④ その芝居なら、幾度となく見物している
地震が起きると、津波が来る事もある。
⑥ 現代は医療が発達して、産後を病む事は少ない。
⑦ 昔は片膝立てして、座ったものだが今はみっともない。
⑧ この机は幅が大きいのでこの部屋には置けない。

【解説】
例文①「前なすん」は「(見える範囲に居て)見張る」、「守る」、「監視する」の意味です。
例文②「家しいちゅん」は「苦情や揉め事があって相手の家に押しかける」の意味です。
例文③「物に凭りゆん」は「魔物や悪霊に取り憑かれる」の意味です。
例文④「見ちんちゃる如どぅある」は「(幾度となく見た事があるので、改めて見るまでもない)という意味合いにあるます。類語句に「食(か)でぃんちゃる如どぅある」、「読(ゆ)でぃんちゃる如どぅある」があります。
例文⑤「ねえぬ揺ゆん」は「地震が起きる」。「ねえ」は日本古語「ない」で、元々は土地の意味ですが、転じて「地震」の意味なったされます。参考:『広辞苑』。
例文⑥「若じいらは入ゆん」は「産後を病む」の意味。「若じいら」は「産後間もない産婦」。「しいら」は「難儀、苦しみ、災難」等の意味。「しいら入ゆん」は「苦しむ」、「苦労する」等の意味です。
例文⑦「片膝取ゆん」は「片膝を立てて座る」。この例文は「取ゆん」の慣用句の追加です。
例文⑧「幅取ゆん」は単に「幅が大きい」と言う意味で、日本語の「場所を占領する」、「はばをきかす」の意味はありません。
 
【応用問題】
 例文や説明文を参考に次文中の太字の語句に相応しい語句を左の()内から選びなさい。答えは下欄です。
(若じいらあ、物に凭ってぃん、家しいちいが行じゃん、飲でぃんちゃる如どぅある、前なすん)

① わじやあに、人(ちゅ)ぬ家(やあ)んかい、ごうぐちしいが行(ん)じゃん。
② ビールお、ちゃっさが飲(ぬ)だらあ分(わ)からんあたい飲(ぬ)だん。
悪(や)な物(むん)なかいうっちゃからってぃん、如何(ちゃあ)ん無(ね)えん。
子産(くゎな)ち直(ちゃあき)ぬ女(ゐなぐ)お、いいくる庫下(くちゃ)んじ、憩(ゆく)とおん。
⑤ 童(わらん)ん達(ちゃあ)、見(ん)じゅんでぃち、仕口(しくち)んならん。
答え:
① 家しいちいが行じゃん。
② 飲でぃんちゃる如どぅある。
③ 物に凭ってぃん。
④ 若じいらあ。
⑤ 前なすん。

日本語意訳
①怒って苦言を呈しに他人に家に押しかけた。
②ビールは幾らでも飲んだ。
③魔物に憑かれても大丈夫。
④産後間もない女性は大抵、裏座で休んでいる。
⑤子供たちを見守ろうとして、仕事にならない。